ハウスメーカー各社の8月度戸建て注文住宅の受注状況は、7月に引き続き回復傾向にある。前年同月比で積水ハウス16%増、大和ハウス工業12%減、積水化学工業住宅カンパニー8%減(棟数ベース)、旭化成ホームズ横ばい、住友林業26%増、パナソニックホームズ31%増、ヒノキヤグループ35%増だった。
「比較対象の前年同月は消費税増税の反動減を受け低調だったため一概に急伸したとは言えないが、足元では戸建て住宅の需要、販売状況、展示場来場者数ともに少なくとも回復軌道にある」(パナソニックホームズ)との見方が主流。地域別では「緊急事態宣言下で大きな影響を受けた首都圏エリアで伸長が大きい」(住友林業)などと、最重要地域の首都圏市場の回復が追い風となっている。
9月以降は新型肺炎の第3波も懸念されるため見通しは立たず、積水ハウスがコロナの蔓延前に立てた21年1月期の業績予想を下方修正するなど、コロナ禍と緊急事態宣言で受けた業績への打撃からの回復は、中期経営計画単位での取り組みとなる見込み。
今後の主な焦点は在宅時間の充実やテレワーク、住環境(空気など)といったニューノーマル時代の新しい住宅需要に合致した商品開発と訴求方法になる。各社はすでに商品を発表しているが、引き続き新たな商品開発や更新を行う。すでに積水ハウスと住友林業はオンライン発信や打ち合わせ、展示場のバーチャル見学会などで手応えを得ており、さらに強化する方針。訴求方法では、積水ハウスが傘下の住生活研究所の調査研究を軸とする「ライフスタイル提案」の重視に移行している。
2020/09/25 日刊不動産経済通信