実感できない人口減と住宅着工 麗澤大学客員教授 宗健(下)
宗健氏

実感できない人口減と住宅着工 (上)より続く

 

国勢調査と住調の不整合

 筆者は、住宅・土地統計調査(住調)の空き家数・空き家率が過大に算出されている可能性が高いことを以前から指摘しているが、今回発表された国勢調査と住調には辻つまが合わないところがある。

 2015年から2020年の5年間で世帯数は227万増加しており、1年あたりの増加数は約45万となる。2020年の世帯数は5572万なので、2018年の世帯数は約5482万となる。

 一方、2018年の住調では、住宅総数は約6241万、世帯数は約5400万、居住世帯のある住宅は約5362万となっている。

 つまり、2018年時点の世帯数は、国勢調査では5482万、住調では5400万で、その差は約82万で約1.5%の誤差となる。

 また、空き家率も住調の数値で単純計算すれば約14%だが、居住あり世帯数を国勢調査の5482万として計算すると約12%となり、約2%の開きがある。

 さらに、住宅のうち別荘や事務所や民泊として使用されているものなどを考慮すれば空き家率は10%を下回る可能性がある。

 また、自治体関係者はご承知だと思うが、空き家対策法施行以降に各地で行われた空き家実態調査では、住調の空き家率を大きく下回る結果が多数報告されている。

世帯数減でも住宅着工は続く

 日本の住宅着工は、世帯数増加に対応する量的対応だけでなく、質の向上のための着工、すなわち建て替えにシフトしている。そのため、世帯数が減少しても、住宅着工は続くことになる。

 実際、2015年から2020年にかけて人口が6.2%約6.3万人減少し、世帯数も0.8%、3138世帯減少して、人口が約96万人、世帯数が38.5万となった秋田県の住宅着工数は、2016年から2020年の5年間で2万659戸となっている。人口も世帯も減少しているなか、年間平均で約4000戸が着工されていることになる。この着工数の世帯数に対する比率は、約1%であり、人口・世帯が減少しはじめてもこの程度の住宅着工は続くと見てよいだろう。

 なお、秋田県では、5年間でほぼすべての自治体で人口は減少しており、世帯数が増加しているのも25自治体のうち5つしかなく、最も世帯数増加が多いのは、秋田市の1624世帯となっている。

大きく変化するこれからの20年

 2020年時点では、多くの場所で人口減少は実感できず、緩やかな経済成長が続いているが、これからの20年で、さまざまな場所で人口減少と高齢化の影響が顕在化しはじめるだろう。

 国立社会保障・人口問題研究所の日本の地域別将来推計人口(2018年)によれば、2040年時点ですべての都道府県で人口は減少し、世帯数が増加する予測になっているのは沖縄県のみとなっている。

 2020年と比べた人口・世帯数の減少率の両方が10%未満で収まるのは、世帯数減少率の小さい順に、愛知県・東京都・滋賀県・埼玉県・神奈川県・福岡県の6都県だけであり、人口が20%以上減少する県は9県、世帯数が20%以上減少する県は2県ある。

 あとから振り返れば、2020年頃がまさに時代の分水嶺だったと言われるのだろう。

2021/9/22 不動産経済Focus &Research

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