株式会社WECOOK Japan(野澤直人社長)は、デリバリー配達に特化した飲食店、飲食事業者が入居するクラウドキッチン「KITCHEN WAVE」の1号拠点を五反田に開業した。WECOOK Japanは、ガイアックスと韓国最大級のクラウドキッチン事業「WECOOK」を運営するシンプルプロジェクトが設立。今後日本国内の主要都市に店舗展開を進め、5年で30拠点、180事業者の飲食事業者の利用を目指す。
クラウドキッチンは、デリバリー用の料理を作るための施設で、店内には客席がないキッチンのみのレストラン。出来上がった料理はウーバーイーツや出前館などのフードデリバリーで配達する。通常、キッチンの大きさは3坪程度で、大きい施設では20以上のキッチンが設けられる場合もある。キッチンはフードメーカーと呼ぶ飲食事業者に貸して、施設の利用料やサポート料などを得る。飲食店の開業資金は通常、数百万円レベルで必要となるが「KITCHEN WAVE」では初期費用60万円、月額費用12万5000円で開業が可能。
クラウドキッチンの鍵は、適切な商圏に出店し、なるべく安くフードメーカーにキッチンを提供すること。「KITCHEN WAVE」では、すでに5年前から韓国で展開しているWECOOKのナレッジ・ノウハウを用いながら、さらにガイアックスが強みとするSNSのマーケティングで顧客を獲得していく。WECOOK Japanは1拠点あたり4〜5キッチンの小型店舗を居抜きなどの遊休資産を活用し出店していく。無煙調理器具を導入してダクト工事を廃するほか、排水設備もキッチン内に装備することで、退去時のコストや環境負荷を減らす。
KITCHEN WAVE1号店は周辺に飲食店が密集する、品川区西五反田1丁目30−4 REビルに設けた。「五反田」は4キッチンあり、フードメーカー4者が利用する。五反田に出店したのは飲食店の集中のほか、テイクアウトの主要ターゲットである、一人暮らしの人が商圏内に多いこと。今後は東京だけでなく、大阪・横浜・福岡・名古屋・札幌・仙台への出店を検討中。今後5年で30拠点の新設、180事業者のフードメーカーの入居を目指す。
21年6月の3大都市圏の外食市場規模は1345億円。これは前年同月比で528億円ものマイナス。野沢氏は「10月に入り緊急事態宣言が解除されたが、飲食市場は回復しているとは言えない状況。立地のいいところは回復は早いだろうが、駅から遠い、地下とか2階以上とかの飲食店は今後採算を取るのが難しくなるのでは。こうした2等立地の飲食店が、客席を持たず人件費も家賃も大幅に削減できる、デリバリー系にシフトしていくのでは」とみる。