ザイマックス不動産総合研究所は、東京23区を対象としたオフィス空室率に関する調査レポートをまとめた。空室率は上昇し賃料は下落しているが、消化される空室の量は増加しており、企業移転は活発だと指摘。傾向としては、100坪未満の空室件数の増加が鈍化する一方、100坪以上の空室件数は増えており、空室の大型化が進んでいるとした。
空室率は21年4~6月期で2・96%と、5四半期連続で上昇。解約予告を含めた募集面積率は5・75%となっており、空室率との差が広がり、解約予告から退去までの6カ月間で次のテナントが決まらないケースが増えているとみられる。
区画面積別でみると、100坪未満の空室は早い段階で次のテナントが決まるため増加が鈍いが、100坪以上の空室はレイアウトの検討など中小型オフィスと比べて時間がかかることなどから、空室の解消が進まず件数が増加していると推測している。ビルの規模別でも延床面積300坪以上5000坪未満の中小規模ビルでは21年4月をピークに頭打ち感がみられるが、延床面積5000坪以上の大型ビルでは空室件数の増加が続いているとした。
最近では「経費削減」を理由とした移転は減る一方、「業務効率化」を目的とした移転が過半を占める。同社は「企業がコロナ禍を経て働き方の多様化に伴うオフィス戦略の見直しを行っている」と分析する。空室の増加はビル事業者にとって逆風となるが、オフィスに入居する企業にとっては移転先の候補が増え、賃料も安く移転できるとし、「今後はワークプレイス戦略の見直しを行う企業が増え、移転が増加してくるだろう」と指摘した。(日刊不動産経済通信)