長期修繕計画標準様式・ガイドラインの見直しー計画期間を30年以上に変更
長期修繕計画標準様式・長期修繕計画ガイドラインの見直しでは、計画期間や大規模修繕工事の周期の目安を変更しているのが柱。計画期間は、現行では「25年以上」としていたものを「30年以上で、かつ大規模修繕工事が2回含まれる期間以上」に改めている。周期の目安は、1回目を「12年目程度」から「12~15年目程度」、2回目を「24年目程度」から「24~30年目程度」、3回目を「36年目程度」から「36~45年目程度」と変え、幅を持たせるとともに、周期を延ばせることも明確にした。
このほか、社会情勢や建物の長寿命化が求められる中での修繕の考え方も反映させた。ガイドラインの目的を示した第1章のコメントでは、築古のマンションは省エネ性能が低い水準にとどまっているものが多いとし、「省エネ性能を向上させる改修工事を実施することは脱炭素社会の実現のみならず、各区分所有者の光熱費負担を低下させる観点からも有意義」と、省エネ性能の向上が建物の長寿命化に寄与する点を説明した。
また、基本的な考え方として長期修繕計画の対象範囲を規定する中で、共用部分と専有部分の給排水管を一体的に取り換えることも考えられると新たに記載した。その場合は長期修繕計画に考え方を記載するとともに、工事費用を修繕積立金から拠出することを管理規約で位置づけるように示した。また、先行して専有部で修繕を行った区分所有者への補償の有無や、対象とするのは専有部と共用部が構造上一体となっている部分にとどめる点などを示している。
さらに、旧耐震基準のマンションでは耐震診断の実施やその結果に応じた耐震改修の検討についても明文化した。費用面から直ちに実施が難しい場合、補助金や融資の活用、推定修繕工事項目に設定して段階的に改修することを示した。建具取替えなど計画期間の30年より取替えの周期が長い工事については、その工事の予定時期や推定修繕工事費の明示も求めた。単価設定の考え方では、修繕工事の現場管理費や一般管理費に加え、法定福利費や大規模修繕瑕疵保険の保険料などを考慮することも求めている。
2021/10/5 月刊マンションタイムズ