広がる支援の輪、将来は全国展開も視野-プライム、福祉と不動産の間で橋渡し
プライム 石塚代表

 前回に続き、ホームレスや生活保護受給者らの自立支援に取り組むプライムの石塚惠代表へのインタビュー記事を掲載する。

 -手間や苦労が多そうだ。続ける動機は。
 石塚氏 使命感と達成感、この2つが大きい。福祉と不動産の中間に立ち両者の橋渡しをしているが、異なる分野の人たちから自分が必要とされているということを強く実感している。コロナの前は一般的な不動産仲介や買取再販も手掛けていたが、手間がかかる支援の仕事に集中した結果、生活困窮者の支援が中心になった。実際にやってみると、支援の仕事で十分に収益を出し続けられるということが分かった。

 
 -仕事上、特に印象に残るエピソードは。
 石塚氏 劣悪な環境の無料定額宿泊所から逃げてきたおじいさんが相談にきて、当社の物件に入った。親しくなり交流していたが、ある日認知症になり、ひどい暴言を吐くようになってしまった。8年ほど応援していたが、そんな結果になり悲しい。他に夜逃げをされた経験などもあるが、そういう時は入居者と十分に信頼関係を作れなかったと自分を責めてしまう。どこまで人を信用するかは今でも難しい。しかし、最初から人を疑ってかかることはしない。


 -逆に仕事を続けていて良かったと感じたことは。
 石塚氏 9割以上が良かったことであり、先ほど話したような嫌な出来事は100件に1件くらいしかない。生活困窮者が自分の部屋を持つことで人生を再びやり直せる。横でその手伝いをするというのは本当にやりがいのある仕事だ。最近では、息子から暴力を受けて苦しんでいた80歳のおばあさんを悪循環から抜け出させることができた。生活保護を受給する段取りを付けてから無事に家を出て、理不尽な暴力を回避できた。彼女には大変感謝されたが、そういうことの積み重ねが仕事を続ける上での原動力になっている。


 -コロナ禍でDVや離婚などのトラブルも多い。
 石塚氏 被害者の一時避難場所が必要だ。事務所の隣接地にそのためのアパートを買ったが、結局は困窮者の住まいになってしまった。今は3部屋が男性入居者で埋まっている。そもそも支援相手は男性が多く、女性からの相談は少ない。それでも支援の手が必要な女性は確実にいる。その日の生活にも困る女性たちの受け皿になるような部屋を当社が用意したい。


 -自前のNPOを通じてフードバンクも始めた。
 石塚氏 当社の認知度が高まるにつれ、大手を含め賛同してくれる食品メーカーなどが増えた。多くの食料を寄贈してもらえるようになったが、同時に利用者も増えた。このため今は需給が釣り合っている。


 -SDGsなど弱者に寄り添う機運が高まりつつある。事業拡大への追い風にもなりそうだ。

 石塚氏 スルガ問題などもあり創業後の5年ほどは融資が付かず経営が苦しかったが、この数年で風向きが変わった。まず地元の銀行が当社に融資してくれ、小さい不動産を1つ買った。それが実績となりいくつか物件を買うことができた。


 -今後、事業をどう展開していく。
 石塚氏 新しく人を雇い支援先を全国に広げたい。最近は協調する仲間も増えて全国から相談が舞い込む。拠点は座間だが、全国に同じ考えの不動産業者がいれば支援の輪が広がる。今は現業で手いっぱいだが、5年、10年先には全国展開を実現したい。不動産業は支援分野にも目を向けてほしい。ボランティアではなく、きちんと収益も出る事業だ。(日刊不動産経済通信)

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