コロナ禍で住宅建築業者の活動鈍る 20年度に着工した住宅事業者は5.5%減ー住宅産業研究所

 住宅産業研究所(東京・新宿、関博計社長)が発表した「2020 年度都道府県別低層住宅供給動向」調査によると、3階建て以下の低層住宅について、1棟以上着工した企業数は3万258社となり、前年比1764社減っていたことがわかった。コロナによる着工の延期やウッドショックの影響などが懸念される結果となった。

 国土交通省によると2020 年度新設住宅着工戸数は81万2 千戸で 前年比8.1%減と、 2 年連続の減少となった。 一方で3 階建以下の低層住宅において、 1 棟以上確認申請を提出(=住宅着工)した企業数は3万258 社で、前年比5.5%減となり、社数にして1764社減った。コロナ前の 19 年度と18年度を比較すると 2.8%減(921 社減)となっており、 1年間で住宅を建築した企業数の減少が拡大した。

 持家戸建住宅だけに限ると、 20 年度は2万4901 社で1 棟以上の住宅供給を行っているが、 19 年度比では1651 社減少(6.2%減)。 18 年度→ 19 年度では684 社減(2.5%減)で、 全低層住宅よりも、 持家戸建を行う企業数の方が減少が大きいこともわかった。

 コロナ禍においてもステイホームの高まりから戸建て需要は高かったとされる。ただしこうした需要を取り込めたのは建売事業者で、建売住宅に一次取得層の戸建需要が流れた。一方で住宅性能の向上から建て替えサイクルが長期化する傾向にあるなか、20年度は建替え層の動きが鈍く、 持家では一時着工を見合わせるケースが散見されたことから、持家(注文住宅)を主力とする企業が厳しかった。加えて地方工務店などを中心に、年々増加する後継者問題に伴う廃業や下請けへの業態転換、加えて M&A に伴う社数減少も一定の影響を及ぼしているとみる。

 21年度の住宅着工に関しては、7 月着工時点までは、 持家、 貸家、 分譲における着工戸数は前年比を上回るペースで推移しているものの、ウッドショックの影響で中小工務店を中心に着工が減る可能性があり、20 年度よりも住宅を供給する企業数は減少する可能性が否定できないとしている。

 同調査は2002年度より全国に調査範囲を広げた上で毎年実施、 全国47都道府県における企業別の住宅供給動向を明らかにしたもの。

 

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