民間企業のソーシャルボンド発行を後押し~金融庁がガイドライン案を公表
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 金融庁は7月7日、「ソーシャルボンドガイドライン(案)」を公表し、同日から8月10日までパブリックコメントを求めた。今後、寄せられた意見の結果を踏まえて修正を行い、今夏中を目途に正式なガイドラインとして確定する方針を示している。
 ガイドライン(案)は3月、サステナブルファイナンス有識者会議の下にソーシャルボンド検討会議が設置され議論が重ねられた。背景には、グローバルな債券市場においてソーシャルボンドの発行が拡大するなか、国際標準としては、国際資本市場協会が定めた「Social Bond Principles」(ICMAソーシャルボンド原則)を指針とするものの、国内の経済界等から、日本の特性に即した指針の策定を求める声が挙がっていた経緯がある。同会議では、一般の民間企業によるソーシャルボンド発行を念頭に、実務担当者がソーシャルボンドに関する具体的対応を検討する指針となることを目指して検討が行われた。

 ソーシャルボンド(SB)は、社会的課題の解決に貢献するソーシャルプロジェクトに資金使途を限定した債券で、グローバル債券市場における2020年の発行額は約17.5兆円と拡大している。日本国内でも、SDGs達成に向けた意識の高まりを受け、2020年のSB発行額は9150億円で、2019年の5119億円から大きく数字を伸ばした。だがその内訳を見ると、56%が財投機関債、29%が社債であり、公的セクターによる発行が先行している。国内民間企業による発行は、2019年が初めての起債であり、近年になって発行が増加している状況だ。民間資金の導入はSDGs達成に不可欠であり、債券市場において必要な資金の流れを確保するためにも、日本版SBガイドラインの策定は急務であった。
 こうした経緯を踏まえ、同案は、ICMA SB原則との整合性を図りつつ、先進国課題を多く抱える日本の状況に即した解釈を示した。同案は、全5章と付属書で構成され、多くを3章のSBに期待される事項と具体的対応方法に割いた。特に、SB一般の“ソーシャル性”に対する社会的信頼が維持される重要性を念頭に置き、発行体の具体的対応を定めている。具体的には、SBの核となる要素として、①調達資金の使途、②プロジェクトの評価及び選定のプロセス、③調達資金の管理、④レポーティングの4つを指定した。その上で、重要な推奨項目として、①SB発行のためのフレームワーク、②外部機関によるレビューについて指針を示し、SBの透明性の向上を企図している。
 同案では、各項目における重要度が、「べきである」、「望ましい」、「考えられる」という3表記で示された。なかでも、SBの核となる4つの要素に関して「べきである」と表記された項目は、全てに対応することが求められている。これはICMA SB原則とも整合しており、国際的にもSBとして認められ得る。ただし、現状では、投資家と市場関係者には様々な考え方が存在する。これらは一律に排除されるものではなく、むしろ、発行体と投資家、および市場関係者間での建設的な対話を通じて知見が蓄積され、その知見が市場の仕組みへ反映されていくという今後が見据えられている。

2021/8/15&25 不動産経済ファンドレビュー

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