11月施行の改正銀行法に関連した金融庁のパブリックコメントで、銀行等は引き続き不動産業には参入できないことが明確になった。改正銀行法は、ポストコロナの経済回復を支える観点から、銀行本体などの業務範囲を拡大する。パブコメで示された改正銀行法の施行規則や監督指針の案で、拡大の中身に不動産業は含まれないことが分かった。
改正銀行法は、銀行本体の業務に、デジタル化や地方創生など、地域活性化等に資する業務を加えた。子会社・兄弟会社にできる銀行業高度化等会社についても、従来のフィンテック企業などに、持続可能な社会の構築に資する業務を営む企業を加え、「他業銀行業高度化等会社」と名称も刷新。銀行が投資専門子会社を通じて出資できる地域活性化事業会社も、出資の上限を議決権100%まで引き上げた(従来は50%)。
金融庁がパブコメ(8月6日)で示した改正銀行法の施行規則案によると、銀行本体の事業に加わる「地域活性化等に資する業務」は、経営に関する相談、人材派遣、自行のアプリ・ITシステム販売、広告などとされ、不動産の賃貸・仲介は含まれなかった。他業銀行業高度化等会社・地域活性化事業会社は、同27日のパブコメの「中小・地域金融機関向けの総合的な監督指針」で、ともに「不動産業務の取り扱いは改正前と変わらないことに留意する」と明記された。
27日のパブコメを受け、全国宅地建物取引業協会連合会の坂本久会長は「今般施行される改正銀行法においても、引き続き金融機関の不動産業参入ができないことが明確となった。銀行の不動産業参入と融資業務の利益相反や優越的地位の乱用等の観点から、今後も動向に注意していく」とコメントした。(日刊不動産経済通信)
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