「心理的瑕疵ガイドライン」(案)をどう見るか④ R65代表 山本遼(下)
山本遼・R65代表

国土交通省から事故物件に関する、宅建業者が売買や賃貸の契約者に告知する対象についてのガイドライン案(心理的瑕疵ガイドライン案)について、「住宅弱者」とされる高齢者の入居支援に取り組むプレーヤーはどう考えているのか。心理的瑕疵ガイドライン(案)に加え、6月に国交省が示した、単身高齢者向けの残地物処理契約のモデル契約条項に対する考え方・評価と、民間における見守りサービスの状況などについて、R65代表の山本遼氏に話を聞いた。

「心理的瑕疵ガイドライン」(案)をどう見るか③ R65代表 山本遼(上)より続く

ー残置物処理モデル条項について。

山本氏 賃貸借契約や残置物は相続対象となるが、高齢入居者は身寄りがない人が多い。勝手に残置物の処分をすると個人の財産権の侵害にもなる。そのため、モデル契約条項が明示されたことによって、課題が解決しやすくなった。心理的瑕疵ガイドラインと併せて、モデル契約条項の存在も高齢者の入居促進につながると思う。

ー賃貸市場の現場では残置物はどのように処理されているか

山本氏 賃貸借契約の解除や残置物の処分は、オーナーや管理会社が勝手にやっているのだと思う。入居者も身寄りがないからという理由で、それでも問題なかったのだと思う。ただし今後、そういうケースが増えてきたときに、モデル契約条項のようなものがないといけなくなる。あとは居住支援法人(NPO)とか、行政の助成金で運営されているようなところが、全面的にこういうことをやりやすくなるはずだ。

ーNPOの立ち位置について

山本氏 入居者が居住支援法人のNPOと委任契約を結ぶことになる。モデル契約条項にあるような契約を結ぶことで、これらNPOは入居者から対価が得られるようになるかもしれない。

ー残置物が発生した場合の撤去費用などは、現実的にはどの程度の費用が掛かるか

山本氏 処分費用は数十万〜100万とか普通に掛かるだろう。モデル契約条項では金銭の負担に関しての言及がないので、そこは現場でも揉めるかもしれない。現場の処分費用は大家が出しているケースが多い。今後処分を大家と入居者の委任契約先で行っても、その費用を誰が持つのか、争いは出てくるだろう。

ー今後処分費用を出すのは大家以外に移ったりする事はあるか

山本氏 大家が処分費用を出し、その費用は相続人に請求することが一般的だ。ただし入居者の相続人数が多いとか、分からないといった場合には大家が負担することになる。モデル契約条項の趣旨は、これまで法的にグレーゾーンだった部分、賃貸借契約が解除できるとか、遺品が処分できるとか、そのあたりが民法違反ではなくなるということであり、お金の話ではない。これまで通り相続人に請求ということで変わらない。

ーR65の管理物件で、ごみ撤去が発生した物件などはどれくらいあるのか

山本氏 管理物件は過去5年間で200物件程度と少ない。このうち大掛かりなゴミの撤去が生じたのは1件しかない。客付けは今は止まっている部分もあるが、コロナ前は月10件くらい行っていた。

ー見守りサービスを展開している

山本氏 見守りサービスは大家だけでなく、不動産会社向けにも提供している。不動産会社には、どう入居支援するかが大事であり頑張っている会社が多い。当社の見守りサービスは見守りだけでなく、保険もつけていることが特徴だ。仮に委任契約があっても、この費用は大家なのか、相続人なのか、誰が持つのか。こうした揉めそうなケースの場合、保険が下りるようにしている。具体的には家賃を1000円ほど上げてもらって、大家に保険に入ってもらう仕組みだ。

ー保険会社は

山本氏 これまでアイアル少額短期保険の孤独死保険を採用していたが、昨年、R65用の損害保険を東京海上日動に作ってもらった。保険の補償内容は、入居者が亡くなったときの現状回復費用に100万円、空室期間が発生した場合に最大3年間、月額家賃の100%を、家賃の減額が発生した場合に月額家賃減少額の50%を保証する。 

ー見守りの実績は

山本氏 100件ぐらいだ。このうちの半分は、保険が東京海上日動に切り替わっている。これまで見守りは積極的には売っていなかったが、 大家からの問い合わせが数多く来たことをきっかけに対応した。今は資料も整い協力会社のオペレーションもだいぶ円滑にいくようになったので、外向けに売っていくことにした。今は代理店として管理会社による販売がかなり進捗している。

ーサイト「R65」の掲載件数は

山本氏 物件の掲載件数がどんどん伸びていて、入居者の方に利用していただきやすくなったかなと思っている。掲載件数は3年前が300件ぐらいだったが、今は2000件とかで、2年で8倍。まだまだ増えると思う。管理会社に掲載してもらい掲載料を月額課金するビジネスモデルだ。管理会社を回ると、非常に感触がいい。高齢者をもっと積極的に入れていきたいという声が多い。これまでのように高齢者の入居に二の足を踏むような管理会社は徐々に少数派となりつつある。以前は高齢者をいれる管理会社は数%だったが、今は2〜3割の管理会社が興味をもっている印象だ。特に空室に悩む地域が多い。今年は特にコロナでこれまで学生を多く入れていた地域が客付けに苦心している印象で、そういう地域の管理会社が高齢者にシフトしている印象だ。

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