マンション大規模修繕の戦略⑭TOHO
顧客の要望を反映した屋上緑化(TOHO)


中古マンションが流通市場で高い評価を得ていくためには、適切な改修工事が施される必要がある。施工会社はどのような戦略をもって大規模修繕を通じた付加価値を提供しているのか。このコーナーでは、マンション改修施工会社の大規模修繕についての考え方や戦略にスポットを当てる。今回はTOHOの取り組みを探った。

屋上緑化、外断熱 難しい要望に応えるサービス精神


インフラ系塗装からマンション修繕に


 TOHOは、年間完成工事高約105億円、全体の7割弱となる約65億円をマンション改修で占める施工会社だ。マンション改修元請の工事高は約50億円で、元請比率が比較的高い。創業は石川県金沢市で、石川県を創業地とする佐藤組(現、佐藤鉄工や佐藤工業)を出自とする佐藤塗装店として明治40年(1907年)に発足し、主にインフラの鉄部塗装に従事してきた。1928年に東京へ移転し、佐藤塗装工業所に改組、1956年に東方工業、2006年にTOHOへと改称した創業114年の老舗だ。
マンション大規模修繕に参画したのは1990年前後。もともと発電所、橋梁などのインフラ塗装を主としてきた中で、マンション専業ゼネコン系の管理会社から関西圏でのマンション大規模修繕を依頼された。そのため、関西圏の中層マンションの大規模修繕を主に手掛けてきた。その後も、ゼネコン系管理会社や、デベロッパー系管理会社の声がけを受けて、東京圏でも受注を伸ばしてきた。

管理会社からの信頼得る施工メニュー
低層部店舗付き共同住宅の店舗部分を住宅にコンバージョンした事例(TOHO)


 同社は、管理会社、設計コンサルタントを経由して組合から受注する割合が高いことが特色だ。そのため、エリアを特に選ばず受注している。全国で電力、石油のプラントや通信施設の塗装、防蝕、防錆に通じてきたことから、協力会社も全国に展開できる。インフラ系塗装を強みとしているために施工監理にも高い評価を得ている。その象徴が品質に関わる国際認証ISO9001、環境に関わる国際認証14001認証の取得だ。
マンション大規模修繕についても、東京を本社としながら、全国で施工できる体制を整えている。
管理会社や設計コンサルタントからの信頼が厚い理由としては、高い施工品質の確保に加えて、コミュニケーションを基盤とする高い提案力だ。
施工品質は、インフラ系営繕を主としてきたことから定評がある。出色は提案力だ。同社は、提案段階・施工中を問わず、管理組合・居住者からの要望や問い合わせをいち早く社内に周知し、目に見える対応ができるような態勢を布いている。管理組合・居住者からの要望を受けて、既存マンションではあまり施工されていない屋上緑化もメニューとして用意している。屋上緑化は、マンション居住者にとっては美観の向上、断熱・遮熱性が期待できる。一方で、マンションスラブの耐荷重、屋上防水の性能にも左右され、かつ施工期間が延びること、塗装や防水ではなく屋上緑化の専門会社が必要となることから、大規模修繕会社が提案することはまれだ。
また、管理組合の要望を反映する形で、外断熱改修や給排水設備更新の施工実績もある。外断熱改修は、費用負担は大きくなるものの、光熱費削減を志向する管理組合には人気のメニューだ。外断熱改修、給排水更新も、塗装を主としてきた大規模修繕会社にとっては比較的ハードルが高いが、同社は要望に応える形でどちらも実績を積んでいる。

給排水管設備工事(TOHO)
複数回大規模修繕に応対する


 同社では、既存マンションにおいては全国的にも複数回目の大規模修繕工事が主となることを見越して、外断熱改修、給排水設備更新、さらには耐震改修についても施工できる体制を確立する。
また、リノベーション、コンバージョン(用途変更)、駐車場・駐輪場改修、エントランス、廊下・手摺改修、セキュリティ改修など、ヴィンテージ化に資する改修に注力する。

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