「賃貸住宅管理業法全面施行記念シンポジウム」が東京・千代田区の全社協・灘尾ホールで6月18日に開催され、有識者らによるパネルディスカッション「安心・安全・快適な賃貸住宅管理と賃貸不動産経営管理士の役割」が行われた。サマリーを紹介する。

賃貸住宅管理業が果たす役割は大きい   

国土交通省不動産・建設経済局長 青木 由行氏  

日本賃貸住宅管理協会会長 塩見 紀昭氏   

全国賃貸不動産管理業協会会長 佐々木正勝氏   

NACS消費生活研究所主任研究員 土田あつ子氏  

 モデレーター=明海大学不動産学部長 中城 康彦氏

 

明海大学・中城不動産学部長

中城・学部長 賃貸管理業法が制定され、このほど全面施行した。賃貸管理業の課題に対する対応策や、今後の展望についてどうみるか。  

青木局長 優れた賃貸管理業者の方々が国民にさまざまな幸せをお届けするというのがこの法律の目的ではないかと思っている。ぜひ事業者のノウハウやネットワークで、地域に貢献する賃貸管理業の「ものがたり」を紡ぎ出して頂きたい。  

国土交通省・青木局長

塩見会長 業法の制定と賃貸不動産経営管理士の国家資格化を果たし、今後はその充実に努めていきたい。また、高齢者や外国人、シングルマザーなど「社会弱者」といわれる方々にどのような働きかけができるかが課題である。サブリースを上手に使い、住宅を提供していくことも可能だと思う。  

佐々木会長 賃貸管理業は、オーナーの命の次に大切な資産を守り、そこに住む方の生命と財産を預かる仕事である。住んでよかったといわれる環境づくりに果たす役割は大きい。プロとしてスキルアップし、何よりも暖かく寄り添うことが一番重要だと考えている。  

日管協・塩見会長

土田・主任研究員 いま、賃貸住宅は借主が選択できる状況にある。借主の選択にかなう維持管理ができるのか、オーナーと管理業者の腕にかかっている。オーナーがプロ意識をどう持つか、そこに管理業者のアドバイスが必要とされる。

 中城・学部長 新法やガイドラインを巡り、賃貸管理業者はどう対応していけばよいか。

 青木局長 新法はサブリースの適正化と新たな賃貸管理業者の登録制度からなる。登録制度関連の「業務管理者」には、これまで登録された賃貸不動産経営管理士は移行講習を修了すること、宅建士は指定講習を修了し2年以上の実務経験があれば要件を満たす。移行講習、指定講習ともに、順調に進められている。

全宅管理・佐々木会長

 塩見会長 日管協では業法のハンドブックや業者登録のためのマニュアルを提供している。また、管理戸数200戸未満の業者に登録の義務はないが、協会では登録を勧めることを決めている。登録キャンペーンを行っており、早期に全会員の登録を進める。

 佐々木会長 業法に対応し、セミナーや文書などを発信しているほか、登録制度をよく理解するため、さまざまな支援策を講じている。社会的な地位向上など、登録メリットを伝え、マインドアップに向け、強く推進していく。

NACS消費生活研究所・土田主任研究員

 土田・主任研究員 サブリース勧誘については何が不当勧誘かだが、断りの合図が出されているのに強く勧めるのは不当勧誘に当たる。「SDGs(持続可能な開発目標)」が広まる昨今だが、賃貸管理業者は、まちづくりや住宅の提供などで社会的責任を果たすことが求められている。

 中城・学部長 広範な知識を要する賃貸管理業は不動産学の縮図でもある。新法の制定・施行を機に、産官学の一コマとして引き続き協力していきたい。

 企画・運営主催:不動産業ビジョン2030/賃貸住宅管理フォーラム

 (構成団体)公益社団法人全国宅地建物取引業協会連合会、公益社団法人全日本不動産協会、公益財団法人日本賃貸住宅管理協会、一般社団法人不動産協会、一般社団法人全国住宅産業協会、一般社団法人不動産流通経営協会、一般社団法人賃貸不動産経営管理士協議会、一般社団法人全国賃貸不動産管理業協会、一般社団法人日本ビルヂング協会連合会、一般社団法人不動産証券化協会、公益社団法人日本不動産鑑定士協会連合会。(オブザーバー)一般財団法人不動産適正取引推進機構、公益財団法人不動産流通推進センター。(事務局)株式会社住宅新報、株式会社不動産経済研究所。特別協賛・株式会社リクルート賃貸Division。後援・国土交通省。  

 ※同シンポジウムは録画配信中、7月24日まで(視聴無料)。https://www.jutaku-s.com/page/id/284から。

(日刊不動産経済通信)

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