CBREがまとめた投資家意識調査によると、2022年の取得額が「昨年より増加する見込み」と回答した日本の投資家の割合は54%。1年前の調査結果に比べて10ポイント増加し、売却についても「昨年より増加」と回答した投資家の比率が上昇していることがわかった。また、日本の投資家は引き続き「コア」を選好。一方で、より高い利回りを求めて「バリューアッド」を選ぶ投資家も増加している。オフィス賃貸需要の見通しについての投資家の見方が改善。オフィスを再びもっとも魅力的な投資対象に選んだ。オルタナティブ投資に積極的な投資家が増加しており、データセンターや冷凍・冷蔵倉庫に対する意欲が高まっていることもわかった。
2021年の投資額は3兆8410億円で、対前年比6%減少した。前年2020年に500億円を超える大型取引が比較的多かったことの反動減が主因。しかし、コロナ禍前の2018年ならびに2019年を上回る規模である。500億円未満の取引の総投資額は対前年比18%増加している。アセットタイプ別にみると、オフィスの投資額が1兆7270億円と対前年比11%増加した一方で、物流施設は8990億円と同13%減少した。500億円未満の取引でも、オフィスが前年比53%増加した一方、物流施設は24%減少した。
日本の投資家の投資意欲は非常に旺盛であり、不動産ファンドが牽引している。2022年の取得額が前年より上回ると回答した54%の割合は、2015年12月以降実施された7回の調査の中で最も高い。この結果を投資家属性別にみると、「昨年より増加する」という回答の割合がもっとも高かったのは「不動産ファンド」(74%)で、次いで「デベロッパー・オーナー・オペレーター」(51%)、「機関投資家」(50%)となった。
また、2022年の売却額が「昨年より増加する」と回答した投資家の割合は24%で、同8ポイント増加した。投資家属性別に回答率をみると、「デベロッパー・オーナー・オペレーター」が32%ともっとも高く、次いで「不動産ファンド」が28%、「機関投資家」は11%となった。調査では、経済正常化への期待の高まりとともに、投資家の意欲もさらに高まっていると指摘。さらに、取得意欲だけでなく売却意欲も昨年より高まっていることは、2022年の売買市場では流動性がさらに高まることを示唆していると分析し、CBREは、2022年の投資額が2021年を10%程度上回ると予想している。
2022/3/15 不動産経済ファンドレビュー