米仲介大手ケラー・ウィリアムズ、日本で本格稼働―エージェント制で展開、3年後に2千人

 米国の不動産仲介大手ケラー・ウィリアムズ(KW)の日本でのマスターライセンスを保有するエージェント・グロース㈱(ケラー・ウィリアムズ・ジャパン〔KWJ〕、山本マーク豪社長)が、本格的な展開を始めた。同社は18年10月に設立し、19年に本国KWとの間でマスターライセンス契約を締結。20年に初のマーケットセンター(店舗)「KW TOKYO」を東京・六本木に開設し、以降計8店舗が稼働している。
 KWは、各地域のMC(店舗)のオーナーと個人事業主の営業担当者が業務委託契約を結ぶエージェント制で事業展開しており、日本でも同様のスタイルを踏襲する。報酬はフルコミッション制(完全歩合制)。
米国の大手不動産仲介事業者が日本に進出したケースは過去にもあるが、日本のマーケットに合わせてビジネスモデルを修正していた。80年代に日本での展開を始めたセンチュリー21は、日本の不動産仲介の商慣習やマーケット特性に併せて、米国のようなエージェント制は導入せず、小規模の不動産事業者をフランチャイズ加盟店として迎えることで拡大。足元で加盟店は989店舗(3月末時点)まで増えている。
 一方、KWは米国でのビジネスモデルをほぼそのまま日本に持ち込む。店舗を運営するオーナー会社の社員数人が店舗マネージャーやアシスタントを務めるが、営業担当はあくまで業務委託契約を結んだフリーのエージェントが担う。現在の8店舗のオーナーは個人投資家や不動産管理会社社長など職種はさまざま。管理会社社長のケースでは、別法人を立ち上げて店舗運営だけを担い、業務委託契約を結んだエージェントが営業活動を行っている。KWJがオーナー候補とともに出店の立地選定を行い、オーナーにKWのサブライセンスを付与する。エージェントの募集は各店舗で行い、トレーニングなどはKWのシステムとノウハウを使う。KWJがテクノロジーも提供していく。
 エージェントは他職種との副業も可能で、不動産仲介業の経験のあるシニア層や宅地建物取引士の資格を持つ主婦層などのほか、他業界で富裕層人脈を持つ車のディーラーや保険外交員などの活躍にも期待する。宅建士の資格取得の有無は問わないが、宅建業法により規定される1事務所内で「5人につき1人以上」の宅建士の割合は当然順守する。エージェントは店舗に常駐して営業をする必要はなく、自らの裁量で自由な場所と時間で勤務可能。顧客から得る仲介手数料収入の分配は、エージェントが6割、店舗が3割、KWJが1割となる。
 KWJはエージェント制の利点として、オーナーの低コスト運営とエージェントの柔軟な勤務体系を挙げる。オーナーは、最少人数の正社員とコンパクトな事務所での運営により低コストで開業、運営できる。また、エージェントはフルコミッション制により仲介会社での勤務より報酬面で改善され、副業が可能など柔軟な勤務体系で従事できるとする。
 現在のエージェント数は8拠点合計で約120人、3年後には2075人へ拡大を図る。一方で、店舗数の見通しは36店舗と拡大は抑えめだ。KWは、米国の3大仲介事業者のセンチュリー21、リマックスと比較すると、店舗数は3社中最少だが、エージェント数は最も多い。1つの商圏に1店舗しか出店しない戦略で、日本でも同様のスタンスを取る。
 現在稼働中の店舗は出店順に①港区と渋谷区エリアを商圏とする六本木の店舗②名古屋市内の店舗③千代田区の店舗④品川区も商圏とする目黒区の店舗⑤中野区も商圏とする新宿区の店舗⑥中央区の店舗⑦神戸市内の店舗⑧杉並区の店舗-。新たに契約が進むのは大田区と川崎市の一部、横浜市の鶴見区を商圏とする「KW KEIHIN」。KWJの井口新一郎執行役員は「店舗拡大ではなく、良いエージェントを増やすことが重要」と話す。
 


総合商社と連携、丸紅G系も1店舗運営

 KWJは設立後、総合商社との連携を図るため丸紅グループと協議し、丸紅がKWJへ20%を出資。丸紅都市開発がKWのトレーニング資料などを日本の不動産仲介の商慣習に合わせてローカライズしてきた。また、丸紅都市開発は完全子会社の丸紅不動産流通を20年11月に設立。丸紅不動産流通が今年3月に店舗「KW TOKYO BAY」を開設し、運営に乗り出した。同店では、丸紅不動産流通の宅建士資格を持つ3人がマネージャーなどを担うため出向。現在、6人のエージェントの選定が終わったところだ。
 丸紅在籍時にKWJと最初にコンタクトを取った山本哲司・丸紅都市開発社長(丸紅不動産流通の社長を兼務)は、「丸紅としては、働き方改革の視点からKWのエージェント制に関心を持った」と振り返る。店舗運営については「東京ベイのエージェントは20人ぐらいまで拡大したい。東京ベイが軌道に乗れば、大阪や九州など別地域でもMC店を任せてもらえるようにしたいが、店舗拡大ありきではない」とする。
 丸紅不動産流通はKWJの店舗運営に参画するために設立した子会社のため、KWJブランド以外での仲介事業の展開は考えていない。また、丸紅のKWJに対する出資比率も、今後大きく変更することは両社ともに想定していないようだ。あくまで、KWJ自身が日本での展開の舵取りをしていく体制となる。

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