賃貸残置物、家主が撤去する仕組み実現―国交省と法務省、年度内に契約条項提示
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 自民党の賃貸住宅対策議員連盟(ちんたい議連、石破茂会長)は20年度総会を開催し、賃貸住宅の家主団体から毎年強い要望があった入居者の遺品(残置物)を撤去する仕組みについて、国土交通省と法務省が20年度内に実現する見通しを示した。死後事務委任契約を活用する方針。

 入居者の遺品は、相続人が一切の権利義務を承継することとなり、相続人全員の同意なしに処分することが難しい。遺品問題は、処分に相当の時間と費用がかかることから、家主が高齢者の入居を断る要因にもなっている。単身高齢者が増加するなか、簡便な方法で遺品を処分できる仕組みが家主の間では長らく求められてきた。総会で、全国賃貸住宅経営者政治連盟(ちんたい政連)と、自民党ちんたい支部連合会・全国賃貸管理ビジネス協会が議連に提出した重点政策要望にも盛り込まれていた。

 この要望に対し、総会に出席していた国土交通省の和田信貴・住宅局長と、法務省民事局の笹井朋昭・参事官が、両省および弁護士など有識者との研究会を立ち上げたことを報告した。研究会は4月に立ち上げ、不動産関係団体の意見も聞きながら仕組みづくりを議論してきたという。今年度中に、死後事務委任契約の仕組みを使って、遺品を処分するための契約方法の案を示す方針を明かした。

 このほかの賃貸業界からの重点政策要望には、賃貸マンションの大規模修繕積立金を課税対象外とすることや、民間賃貸住宅の賃貸借契約・家賃債務保証契約の電子化を進めることなどが盛り込まれ、議連に決議された。

2020/11/13 日刊不動産経済通信

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