世界的な木材価格高騰のなか、米国産材の価格は5月の最終週から2週続いて下落した。そのため、「米国市場は木材不足のピークを過ぎただろう」(日本木材総合情報センター)、「緩和の兆しが見え始めた」(住宅生産団体連合会)としているが、足元では6月の米国産材現地価格が5月比で5・7%上昇し、海上運賃も08年以降で最も高い水準が続いていることなどから、木材価格の高騰は長期化が見込まれる。
住団連の会員企業が用いる木製・木質構造材の約8割が輸入材。日本木材総合情報センターがまとめた6月の木材価格・需給動向によると、米産材の出荷は好天に恵まれ順調で、1~4月の日本向け原木出荷量は前年同期比16・1%増と増えたものの、下期の日本向け価格は㎥当たり最大500ドルほど値上げする。国産材(北関東)は、栃木県で4月から完売が続き、群馬県は在庫が皆無で大量の受注残への納期回答と見積もりができない状況。国内での4月の合板出荷量は26・8万㎥で、同月の生産量(26・5万㎥)を上回り在庫は約10万㎥と減った。このうち構造材用合板在庫は8・6万㎥。南洋材と北洋材は、コロナ禍によるマレーシアでのロックダウン、コンテナ不足、中国からの強い買い付けなどで見通しが立たない状況が続く。
大手ハウスメーカーは、構造材確保の見通しが立ち、施工遅れも現在のところ避けられている。木造・木質系戸建て住宅の価格面では、積水ハウスと大和ハウス工業が一部で若干の値上げに踏み切った。木造・木質系が中心の住友林業、三井ホーム、ミサワホームは当面、主力モデルの価格を維持できる見込み。大東建託の木質低層賃貸は現在値上げの予定はないものの、秋頃に値上げが生じる可能性があるとしている。(日刊不動産経済通信)