賃貸住宅残置物の円滑な処理方法を提示─国交省ら、60歳以上対象のモデル契約
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 国土交通省と法務省は7日、賃借人の死亡後に室内に残された家財(残置物)を円滑に処理する方法を発表した。死後事務委任契約を締結する方法について両省は20年4月から検討。60歳以上の単身高齢者を対象とする「残置物の処理等に関するモデル契約条項」を策定し、パブリックコメントを経て公表した。契約のひな形を示し、単身高齢者の死亡で問題になる契約解除と残置物の処理をしやすくする。
 賃借人が死亡すると、物件の賃借権と居室内の残置物の所有権は、相続人に承継(相続)される。賃貸人や管理業者が相続人に無断で契約を解除したり、残置物を処分したりすることは難しくなる。特に相続人の有無や所在が分からない場合は困難な状況になるため、賃貸人が単身高齢者の入居を拒む理由になっている。モデル契約条項は、単身高齢者の入居時に契約することで、これらの課題解決を目指す。
 賃借人(委任者)は受任者に死亡後の事務を委任する。受任者には賃貸借契約を解除する代理権を授与。残置物はあらかじめ委任者が「廃棄を希望しない残置物」とその送付先を決めておき、受任者は委任者死亡後に指定先へ送付する。指定のなかった残置物は、委任者の死亡後一定期間(3カ月以上を想定)経過後、受任者が廃棄する。ただし受任者は換価可能な残置物は換価するよう努める必要がある。
 受任者には、賃借人の推定相続人や居住支援法人、管理業者等の第三者を想定。賃貸人は、賃借人と利益相反の関係にあり、受任者とすることは「避けるべき」とモデル契約条項の注釈に記載する。また、想定場面以外でこの契約条項を使用した場合は、民法や消費者契約法に違反し、無効となるおそれがある。(日刊不動産経済通信)

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