私募ファンド市場は22.5兆円に拡大~三井住友トラスト基礎研の調査から~

 三井住友トラスト基礎研究所がまとめた調査によると、2020年12月末時点の不動産私募ファンド市場規模(運用資産額ベース)は推計22.5兆円だった。前回調査の2020年6月末時点と比べ約1.4兆円増加し、前回調査に続き過去最高額を更新した。市場規模の増加ペースも前回と比べてやや加速しており、新型コロナウイルス感染症拡大の環境下においても国内不動産私募ファンドの市場規模の拡大が継続している。投資家の投資意欲については「変化が無い」が依然として過半を占めるものの、「高くなってきている」が増加し、レポートは「一旦は低下しつつあった投資家の投資マインドが持ち直していることが伺え、特に海外の機関投資家を中心に投資意欲が高くなっている」と分析している。同調査は年2回アンケート方式で実施し、47社の不動産運用会社から回答を得た。


 デット資金の調達環境に関しては、「普通」が30社で最多だが、「厳しい」が10から6社に減少。前回調査時点からの環境変化として、融資案件の減少あるいは融資対象の範囲や融資条件などが厳しくなる方向の回答が大半を占めており、レポートでは、全体として資金調達環境が悪化しているとまでは見ていないものの、以前よりレンダーによる案件選別の目は厳しくなっている可能性を指摘している。
 エクイティ投資家の投資意欲は「低くなってきている」が33%から12%に減少し、投資マインドが持ち直している。投資家属性別の投資額は、すべての投資家属性で「横ばい」が過半だが、海外年金基金、海外機関投資家、政府系ファンドなどで「増加」の回答が目立ち、海外の機関投資家を中心に投資意欲が高くなっている可能性がある。
 プロパティタイプ別の投資額は、国内投資家・海外投資家ともに「住宅」「物流」が増加し「商業」「ホテル」で減少する傾向が継続。「オフィス」はやや減少との見方が増加した。現在運用中のファンドについて、運用資産残高に占める物件タイプ別の投資割合は、「オフィス」「物流」で計62.2%を占める。同様にエリアは「東京23区」「首都圏」で計71.9%、「近畿圏」まで含めると86.9%と大部分を占める。
 今後1年以内のファンド組成については、運用スタイルのコア化が一層進行し71%。プロパティタイプは「住宅」が30%で最も多く「オフィス」が26%に減少、「ホテル」の回答はなかった。エリアは「23区」「首都圏」の割合が59%から71%に増加、LTV比率は59.4%から66.5%に上昇。レンダーの融資態度の厳格化および不動産価格の下落に対する警戒感が緩和。ただし、運用期間は短期化させており、出口戦略におけるフレキシブルな対応を可能としている。
 新型コロナウイルス感染症拡大後の投資方針について、回答者の半数以上が変化があったと回答。方針の変化として、「取得価格目線の低下」「投資対象の範囲縮小」「LTV水準の低下」の回答が多数を占めた。また「投資期間」については、前回調査と比較して、「短期化」の回答が増加した。

2021/5/5・15合併号 不動産経済ファンドレビュー

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