「西日暮里スクランブル」
所在地:東京都荒川区西日暮里5-21−1
最寄駅:JR西日暮里駅直結
用途:店舗
敷地面積:88.098㎡
延床面積:114.888㎡
構造:鉄骨造地上2階建て
竣工年:1986年3月5日
事業主:HAGI STUDIO
JRの東京感動線プロジェクトと協働
取り壊し予定の建物をリノベーション
「西日暮里スクランブル」は、JR西日暮里駅から直結、2年ほど空きビルとなっていた築35年の建物をリノベ―トした複合型商業施設である。「西日暮里」は、山手線と道灌山通りが交差する角に立地。同物件を所有するJR都市開発は、同物件が接する高架の耐震補強工事が終わり、新たなテナントを探すタイミングで、JR東日本が山手線を起点に展開する東京感動線プロジェクトの一貫と位置付けることを決めた。事業者として白羽の矢が立ったのは、台東区谷中で築60年の木造アパートを最小文化複合施設に改装したことで注目されたHAGI STUDIOの宮崎晃吉氏(同社代表取締役)。従前は、酒屋とファーストフードチェーン店の2店舗が入居していた建物をHAGI STUDIO が1つの施設として内装工事を施し、各ブースに分割、一部を転貸した。同社は改装だけでなく、自社で店舗も運営。2019年12月11日に「西日暮里」は開業した。
同物件は、JR東日本都市開発からHAGI STUDIOが暫定利用(最短で3年)として、定期建物賃貸借契約で借受けている。その理由は、同物件が立地する交差点の道灌山通りを挟んで反対側で進む再開発案件にある。荒川区が計画し、野村不動産と三菱地所レジデンスが事業協力を行う再開発事業では、西日暮里駅前約16万2900㎡に地下2階地上47階建ての施設が建設される予定。総戸数約1000戸を想定する住宅・業務棟と、商業施設や文化交流施設、コンベンション施設を備える商業・ホール棟の2棟で構成され、ペデストリアンデッキでJR山手線と日暮里舎人ライナーの西日暮里駅に接続する。事業は2023年度の着工を目指しており、「西日暮里」が入居する建物は、いずれ取り壊される。そのため費用を抑え、かつ東京感動線プロジェクトが掲げる、“個性的で心豊かな都市生活空間の創造”というコンセプトに基づいた施設設計が求められた。
<バリューアップ>駅からまちへ波及する交流 空家2店舗を商業施設にリノベ(下)へ続く
2021/4/5 不動産経済ファンドレビュー