シリーズ;相続登記義務化をどうみるか② 登記コスト減へ税軽減、戸籍請求オンライン化へ期待ー今川・日本司法書士会連合会会長

21日の参院本会議で、相続登記義務化に関連する、民法等の一部を改正する法律及び相続等により取得した土地所有権の国庫への帰属に関する法律(土地国庫帰属法)が全会一致で成立した。相続登記義務化により所有者不明土地問題はどう進展するか。今後の課題と司法書士会が果たす役割などについて、日本司法書士会連合会の今川嘉典会長に話をきいた。シリーズ;相続登記義務化をどうみるか① に続く)

―所有者不明土地はすでに登記簿の2割あるとされるが、現状の問題の解決法について


 今川氏 全体の2割が所有者不明土地だが、そのうちの6割が相続登記未了案件であり、そこをどうするかということになる。今回の法律は経過措置で相続登記未了のものについても義務化の網を掛ける。こうした制度の中身についてしっかりと説明をしていかないといけない。最終的には遺産分割協議をして登記をしていくことになるが、それがどうしてもできない場合は、相続人等申告制度を利用しながら、遺産分割協議の促進に向けて司法書士や弁護士など、専門家がしっかりサポートすることが大事となる。

 各地域の司法書士会では既に動いている。広島県の広島司法書士会では、5年前から「未来につなぐ相続登記プロジェクト」を法務局と連携し立ち上げた。都市部の広島市内だけでなく山間地とか、様々なところへこちらから出向き、市民へ相続登記の重要性を訴えている。更に相続登記を皆で考えようという、「相続登記塾」を開設し仮に未登記で放置した場合にどういう問題が起きるのか、といった課題について周知している。地道な活動で周知徹底を図っていくことが大事だと考えている。
 
 ―相続登記におけるインセンティブや負担軽減策については、どのように考えるか


 今川氏 戸籍など関係書類を集める必要がある。相続登記の費用は一般的な住宅で司法書士の報酬が3万円~7、8万円で、一般的に費用は10万円以内で収まる。この額はマイホーム購入における登記の費用との比較で半分以下だ。一方で山林などでは山ひとつで1万円という場合もあり、それを相続するのに10万円となれば登記に消極的になる。ただしこれが2代、3代に渡れば戸籍の束は数十通となり、費用がさらに膨らむことになる。そのため経済的な観点から言えば早めの相続登記、早めの遺産分割が大事というところになる。  
 
―それら以外の方法については


 今川氏 代を重ねれば戸籍を請求する費用も増えるし手間も膨大になる。現状では戸籍は本籍地に郵送で請求する必要があり、小為替で支払う仕組みだからその手数料も掛かる。そのため連合会としては「戸籍のオンライン請求の実現」を提言しており、このことを参考人質疑でも申し上げた。オンライン化すればコストカットできるのではないかと思っている。

 
 ―相続登記に係る登録免許税の軽減の方向性について

 今川氏 来年度の与党税制改正大綱のなかに盛り込むと、与党は方針を決めている。そもそも義務を課されながら税金が取られるというのは国民感情としては納得できないだろう。そこは当然理解されている。おそらく大綱では今までにない軽減策が出されるのだろうと思っている。

―今後の義務化に関連する一連の周知をどうするか 


今川氏 まずは3月から全国50の司法書士会に、相続登記相談センターを立ち上げた。フリーダイヤルで、最寄りの司法書士会に電話を繋ぐ仕組みを作った。将来的にはネットからのアクセスにも対応する仕組みを整備する。新しい制度ができると、自治体へ相談に行かれるケースが多い。こうした場合も、最寄りの司法書士会に繋いでもらえるよう、自治体職員とのホットラインも構築していく。法務局とも連携していく。

―法案の附帯決議について

今川氏 付帯決議には周知に関する内容も入っている。内容は、国と司法書士などの専門家が連携して周知するべきというもので、その広報に必要な予算の確保に努めるとある。司法書士会も自前で行うことのほかに、国もしっかり予算を付けるということで、その点も期待している。

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