(提供 日刊不動産経済通信) オフィスビル総合研究所(今関豊和代表)は東京や大阪など大都市圏の6月末時点のオフィス需給動向を公表した。東京都心5区の空室率は前月比0・17㌽増の4・83%と上昇。空室率の先行指標となる潜在空室率は0・04㌽減の7・72%と7%台後半が続く。エリア別ではビルの大量供給が予定される中央・港両区の潜在空室率が9%台と特に高い。地方ではコロナ禍の影響が小さい札幌と仙台で需給改善の兆しもある。
都心5区の空室率は昨年9月から4%台前半が続いていたが、今年3月に4・5%を超え、その後も少しずつ上昇。6月の空室率は約8年ぶりに5%台に近付いた。潜在空室率は昨年6月から7・5%前後を行き来し、直近の半年間は7%台後半が続いている。エリア別の潜在空室率は中央区が0・2㌽増の9・04%、港区が0・15㌽減の9・12%と突出して高い。千代田、新宿、渋谷の3区は6%台と差がある。港区の空室率も0・3㌽増の5・97%と6%台が目前だ。
地方大都市の空室率は、大阪市中心部は0・06㌽減の3・86%、名古屋は0・02㌽増の4・9%と需給が緩む傾向。名古屋の空室率は23年第3四半期(3Q)に5%で天井を打ち、その後は緩やかに下降すると同社は予想する。大阪の空室率は25年1Qまで4%前後が続くとみている。一方、大型再開発が続く福岡市中心部の需給は比較的安定している。空室率は0・06㌽増の3・63%と昨年6月から3・5%が続く。
札幌と仙台の需要は他都市に比べ強い。6月末の空室率は、札幌が0・04㌽減の2・51%、仙台が0・16㌽増の4・91%。札幌の空室率は前年同月末の3・74%に対し1・23㌽減と改善が顕著だ。