ニッセイ基礎研究所は不動産分野の実務家・専門家を対象に、不動産投資市場の景況感などを聞くアンケート調査を実施した。半年後の景況見通しについて悪化が36%、好転が23%と分かれ、悲観的な見方がやや強かった。東京の不動産価格のピーク時期については、「20年あるいは現時点」と既にピークに達したとの回答が7割近くを占めた。
現在の景況感は、「平常・普通」が約4割、「良い」と「やや良い」が計3割強、「悪い」「やや悪い」が計2割強だった。セクターごとに景況感が大きく異なり、専門家でも見方が分かれた結果となった。
「今後、価格上昇や市場拡大が期待できる投資セクター」は「物流施設」が85%で最も多く、データセンターなどの「産業関係施設」、賃貸マンション、太陽光発電施設などの「エネルギー関連施設」と続いた。昨年1月の調査と比べると、前回調査では物流施設は56%、産業関連施設は24%、エネルギー関連施設が6%だったが、特にこの3つのセクターはこの1年で期待度が大きく高まった。一方、前年調査で53%だったオフィスビルは14%に、24%だった海外不動産は7%に、17%だったホテルは5%になり、期待が後退した。
期待できる投資エリアは、1位が「東京都心5区」、2位が都心5区を除く「東京都区部」だったが、3位は「福岡市」だった。リスク要因に関しては「新型コロナ拡大」が66%、「国内景気」が65%で、デジタル化の進展など「ニューノーマル」が43%だった。相対的に海外情勢や自然災害に対する懸念は後退していたことも分かった。(日刊不動産経済通信)