特集 コロナ禍の地価 リゾート・別荘地


移住・多拠点ニーズで別荘地の人気沸騰
 ―軽井沢は反響3倍、「一強」の様相も

コロナ禍でリゾート・別荘地の不動産ニーズも様変わりした。テレワークの導入や密を避ける狙いから、高級別荘地として名高い長野県軽井沢町には、主に首都圏からの移住や多拠点居住の希望者から熱い視線が送られている。沖縄県のリゾート地は観光需要の消滅で大きな打撃を受けたものの、依然として住宅需要は底堅く、アフターコロナを見据えた投資の動きもみえる。


 軽井沢町は、20年の町村における転入人口超過が国内最多だった。首都圏から近い他の別荘地を比較すると、「軽井沢一強」の様相が浮かび上がる。国土交通省によると、神奈川県箱根町は「別荘地需要はやや鈍く地価はわずかに下落」、静岡県熱海市の熱海駅周辺は「別荘として中古マンションや建物付物件への需要が高まっている」ものの、上昇幅は駅前の地価調査地点「熱海―1」で+1・3%(前年+1・0%)にとどまる。一方で、軽井沢町の住宅地の地価動向は「軽井沢―1」の+10・0%(+9・3%)を筆頭に、平均+6・0%(+5・2%)の大幅増で、継続6地点すべてが上昇だった。
 軽井沢町で戸建て・マンションの販売を行うロイヤルハウジングの木島寛社長は「物件購入の反響は前年比250%程度の増加、成約は150%以上増加した。富裕層だけではなく、会社員の新規顧客も増えた」とこの1年の盛況ぶりを語る。「軽井沢千ヶ滝別荘地」の分譲や同町の物件の仲介を扱う西武プロパティーズの担当者も「20年度は軽井沢の物件への問い合わせが19年度の3倍に増えた」(会沢昌之・販売事業部次長)と口を揃える。1000万円台の築古・安価な物件から3億円まで幅広い価格帯が扱われ、両者の話によると、動きが良いのは3000万円台の物件。例年は閑散期である1~2月も集客状況は良いようだ。さらに「ローンを組む顧客が約3割に増えた」(木島氏)、「今まで少なかった現役世代の30歳代~40歳代の関心が高まっている」(会沢氏)といった変化もみられた。
 軽井沢町では、18年から軽井沢リゾートテレワーク協会が活動を続けてきた土壌があり、コロナ禍でプリンスホテルのワーケーションサービスや三菱地所の施設開業など環境変化への対応が他のエリアより早い側面がある。そもそも高級住宅地として完成されたイメージが醸成されていて、「旧軽井沢エリアなどでは1億円を超える高額物件が相対で取引される事例もある」(会沢氏)が、「地元の有力不動産会社が強く、新規参入は難しい」(木島氏)市場でもある。
 町内で取引が最近活発なのは、JR軽井沢駅周辺の観光エリアではなく、追分などの西側エリアだ。会沢氏は「長期滞在という視点から、学校や役所へのアクセスなど生活インフラを踏まえ、人気が波及している」と分析する。一方、「戸建ての販売価格は30坪だと9000万円前後が適正価格だと思うが、今は1・5億~2億円に上がった。軽井沢ブランドを崩しかねない小口化物件の販売もみられる。市場はピークで、活況は長くは続かないだろう」(木島氏)との懸念もある。

沖縄は新築マンション堅調、豊見城や糸満が有望

 コロナ以前は全国で最も地価が上昇していた沖縄県。県平均の住宅地の地価動向は、+1・0%(+9・5%)と小幅ながら上昇を維持した。那覇市や宜野湾市で新築マンションを開発中の大京は、「観光地としてのポテンシャルは依然として高く、現在は県外客が減少しているが、移動がしやすい環境が整えば、多様なニーズが戻るだろう」(洌鎌克也・沖縄支店支店長)と見通す。沖縄県では、移住・多拠点居住によるニーズは現時点では活発ではないが、県内客を中心の実需向け販売は堅調だ。同社が4月に販売を開始する「ライオンズ宜野湾グランテラス」(30戸、宜野湾市)では、「県内客を中心に、全戸の半数程度は早期に契約を獲得できる」(洌鎌氏)と見込む。
 一方で、県外客を中心にウェビナーなどで集客を図った長谷工不動産と大和ハウス工業の「ブランシエラ那覇曙プレミスト」(117戸、那覇市)では、「民泊を可とした上層階の販売進捗が予想以上に早かった」(担当者)という。供給66戸のうち38戸が契約済みで、約7割が県外客だ。投資の側面も含んだ県外客の関心は引き続き高いようだ。
 開発用地については、コロナ禍による観光消費の激減でホテルとの競合はほぼなくなったが、地主層が土地を売り急ぐ必要もないため、「用地の価格は依然として高水準」(洌鎌氏)という。那覇市内で、国道・高速道路をはじめ生活インフラがある程度整った住宅適地で開発する場合は建築費の高騰で、「県内在住者が購入するのは難しい価格水準。宜野湾市や北谷町など那覇市街地へ向かう道路が整ったエリアが開発しやすい」(洌鎌氏)としている。
 また、那覇空港に近いエリアは物流用地として旺盛な不動産需要を示した。全用途で全国1位の+29・1%(+32・1%)の上昇率だった「豊見城9―1」や同3位の+22・4%(+31・8%)上昇の「糸満9―1」などがある豊見城市や糸満市は、自動車でのアクセスが良く、大型商業施設の開業などもあり、住宅地としても有望だという。(日刊不動産経済通信)

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