再エネ市場に投資資金が向かう―牽引する太陽光と洋上風力の足元と今後(上)

 政府が2050年ネット排出量ゼロという脱炭素社会実現を掲げたことに伴い、再生可能エネルギー(以下、再エネ)への注目が高まっている。折しも世界的にESG投資が拡大。2020年には世界全体の投資残高は35兆ドルに達する見込みで、全体の投資残高の約3割を占める。このような潮流の中で、再エネを取り巻く日本の市場はどのように対応していけるのか。足元と今後のインフラアセットとしての可能性を探った。


再エネに追い風も上場インフラファンドに課題
太陽光発電の開発用地に限界、新たな局面へ


 政府は、2050年のカーボンニュートラルに向け、具体的な指標や戦略を示す動きを加速している。2020年12月には、「グリーン成長戦略」を公表。エネルギー産業では、2040年までに洋上風力で4500万kwの発電量を目標とするほか、水素やアンモニア活用など新技術開発も促進し、再エネへのエネルギー転換を進める予定だ。それに呼応し、三菱地所など大手デベは、保有するオフィスビルの使用電力を再エネ仕様とする計画を前倒しで進める方向にある。現状、全エネルギーに対する再エネ活用割合は、2019年時点で18.5%。政府の2050年目標達成には、50%~60%まで引き上げることが求められ、官民一体となった推進が必要だ。

 国内のインフラファンド市場は、2015年4月に開設。時価総額は、5年で7銘柄1000億円超まで成長した。ただ、再エネに追い風が吹く現状でも、上場インフラファンドを取り巻く環境は決して楽観的ではない。エネクス・インフラ投資法人の運用会社であるエネクス・アセットマネジメントの松塚啓一社長は、「インフラファンドへの理解は浸透しているとは言えない。金融緩和が続き、資金の調達が容易なため、上場コストのかからない私募ファンドと競合すると厳しい面がある。導管性の部分などの制度見直しも視野に、上場インフラファンドのせっかくの仕組みをもっと活用してもらいたい」と話す。一方で、2020年4月から東証インフラファンド指数の公表が始まるなど、機関投資家のみならず個人投資家へも上場インフラファンドの認識が高まる動きが見られる。
 現在、上場インフラファンド7銘柄が扱う発電設備は、太陽光が中心だ。最大の理由は、太陽光設備は他の再エネ電源に比べて導入が容易なこと。たとえば、陸上風力では周辺の騒音被害や動植物への影響も軽視できない。そのため、地域住民に理解を求めることが難しく、立地調査から運転開始に至るまで10年という年月を要する事例が珍しくない。他の電源も開発にはいくつもの関門を突破しなければならないのが現状だ。その結果、各ファンドは、FIT法を背景として太陽光を中心に発電設備を取得してきた。だが、太陽光発電設備を大規模に開発する用地には限界がある。太陽光発電のさらなる拡大のため、遊休農地の活用などには、法的な側面からの支援も必要だが、各事業者がビジネスモデルを工夫する段階にきているとも言える。

2021/1/25 不動産経済ファンドレビュー

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