特集 コロナ禍の地価 繁華街(上)主要都市の繁華街、人出の急減で低迷 ―需要の変化で曲がり角、優勝劣敗進む
銀座・中央通り沿いの「ZARA」

コロナ禍で主要都市の繁華街が転換期を迎えている。消費を牽引していた訪日観光客が途絶えた上、外出自粛やテレワーク拡大の影響で人出が急減。景気の先行き不安から消費支出が細り、行政の時短営業要請も相まって飲食や小売りなどの店舗運営が行き詰まっている。従来疲弊していた百貨店などの閉業も早まり、市街地で空洞化が進む。終わりが見えない消耗戦が続き、事業者の優勝劣敗も鮮明になってきた。  

 21年地価公示では商業地の全国平均値が7年ぶりに下降した。都市部で買い物や外食、企業の接待などの需要が落ち、収益を悪化させる店舗が増えた。東京や大阪などのオフィス街では、テレワークの導入に伴い事業拠点を縮小・分散させたり、保有する本社ビルを売って賃貸借契約に切り替えたりする動きも出てきた。このため通勤ルートや商圏の地図が一変、地価動向を大きく揺さぶる要因になった。  

 三大都市圏の商業地の地価変動率は東京が前年比1・0%減、大阪が1・8%減、名古屋が1・7%減といずれも13年以来8年ぶりに低下。一方、地方4市(札幌、仙台、広島、福岡)は3・1%増と8年連続で上昇した。再開発が上昇を牽引したとみられる。ただ福岡を除く地方3市にはテレワークの広がりや訪日客の激減といった変動要因が比較的少なく、地価にも大きな起伏が生じなかった面がある。  

 都市部の繁華街では衣料品系の駅ビルなどが収益を大きく落としたが、食品や日用雑貨を扱う郊外型スーパーは巣ごもり需要で客足が伸びた。ただ、特に東京では狭いエリアでも区画や通りを少し隔てれば店の種類や客層が大きく異なることも多く、地価の上下動分布はまだら模様になっている。さらにコロナの感染者数と街の人出が日々移り変わることもあり、不動産市況を展望しにくい状況だ。

客足減で百貨店からスーパーに鞍替えも  

 小売り大手の東急ハンズは、核店舗の「池袋店」(東京・豊島区)を9月下旬に閉店すると発表した。コロナ禍以前から客足が落ちており、40年近く運営してきた店の継続を諦めた。池袋では駅西口の顔とも言えるファッションビルの「池袋マルイ」も8月に閉じることが決まっている。都市部への通勤・通学や買い物の機会が減り、情勢の変化に即応できなかった店舗の多くが経営危機に直面している。

 日本有数の繁華街である銀座の凋落も著しい。浅草や大阪・心斎橋などと同じく訪日客が消えた影響を最も強く受けた街の1つで、銀座4丁目の地価変動率は前年の0・9%増から7・1%減とマイナス幅が全国で最大になった。  

 銀座から徒歩圏の港区東新橋では、電通が本社ビルの売却案を1月に表明。翌2月にはリクルートホールディングスもグループ会社が使う銀座の「リクルートGINZA8ビル」を不動産大手に売却した。都心一等地の本社ビルを売って賃貸借契約に切り替え、拠点を分散させる企業の動きが活発だ。こうした拠点戦略と働き方の変化が、オフィスや店舗、ホテルなどの開発とリーシングに影を落としている。  

 都心で仲介を手掛ける不動産事業者は「銀座は場所にもよるが賃料を2、3割下げないと空室が埋まらない状況だ」と頭を抱える。4月で開業4年目となる6丁目の商業施設「GINZA SIX(ギンザシックス)」も40以上の店舗を段階的に入れ替えている最中だ。市況の変化を捉え、高級アパレルブランドや美容・健康関連の店を拡充しようとしている。  ファッションビルなど都市型商業施設の経営不振が目立つ一方、スーパーやホームセンターなどの多くはコロナ禍で逆に売り上げを伸ばす。そのことを象徴するのが2月に閉店した旧恵比寿三越の事例だ。商業棟に来春、食品や生活雑貨の店が先行し開業。地下2階にはスーパーのライフや明治屋などが入り、百貨店から日用品を扱う生活密着型店舗へと方向転換する。 (日刊不動産経済通信)

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