事故物件を歩く⑩ 事故物件のお祓い専門の神社を訪ねてー(下)

事故物件を歩く⑨より続く

―お祓いの内容について

お祓い証明書(ボカシは編集部)

金子氏 祭壇を立てて、大麻を振って、祭詞奏上し、供物して、死後を清める。時間は25分ほど。料金は4万5000円(自殺現場のお祓いの場合)だ。そして希望があれば「お祓い証明書」(写真)を依頼者(オーナー、管理会社)に出している。これは毛筆で私が直筆で書いている。部屋を契約する時に新たに借りる人に見せるためのものだ。私自身が思いついて始めたもので、「これ見せると一発で次が決まる」と言ってくれる管理会社もある。(一筆3000円)何もしないで事故物件に入居した人から「女の人に首をしめられる」と電話があり、そこで急いで現場へ急行し、お祓いをしたこともある。

※画像提供=株式会社MARKS

―座間物件について

金子氏 座間の事件の際は、事件のあったアパートオーナーと共通の友人を介して依頼があった。警察の現場検証があるというので、部屋には入れず、現場のアパート2階へ行って部屋の前に祭壇を設置し祈祷を行った。取材陣も殺到していて異常な雰囲気だった。確かに凄惨な事件ではあったが、マスコミに露出し続けていたことで逆に人気物件になった。小田急の駅から近くて家賃が安かったし、事件の後改装工事を行ったので綺麗だし、事件が表面化しても既存の入居者は誰も退去しなかったと聞いている。

座間市内のアパート

―事故物件の増加をどう考えるか

金子氏 大半は持病とおカネが理由で、自宅で死んでいる。自殺する人は定年となる前に何らかの理由で就労ができなくなった人が多い。病気で亡くなる人も、田舎だと体調が悪くても通院ができなくて死んでいってしまう。体が悪いのにお金がなくて病院へ行けずそのまま死ぬというのは、その人と世間との接点が失われてきていることが大きい。だから亡くなってから2、3カ月、長ければ半年たっても見つからない。ハエが飛ぶまで気づかれない。こうした社会との接点がない人が年々増えている印象だ。今朝(取材日当日)も現場へ行ってきたけど、亡くなった人はがんを患って通院していた形跡もなく自宅で死亡していた。世間との接点がある状態というのは「労働の輪」に入っていることだ。そこから外れて収入が無くなる人というのは、親戚もなければ、子供はいても親とは関わらないような関係になっていたりする。定職がある人ならば1、2週間もあれば発見されるが、それは会社に出社してこないから、勤め先の人が探しにくるからだ。

※画像提供=株式会社MARKS

―経済的におかしくなったことが事故物件の増加に拍車を掛けている

金子氏 やはり格差だ。自殺・孤独死とも高齢者だけではなく若い人も普通にいる。孤独死とか自殺があった部屋に行けばよくわかる。こうした現場は凄まじい汚さだ。そしてだらしない。足の踏み場もないぐらいゴミ散らかり、食べ残しはそこらに置かれている。布団は敷きっぱなしだ。そのままでは祭壇を置く場所もない。想像を絶するような貧困が日本の社会にはある。

―警察の発表では2020年の自殺者数が増加に転じた

金子氏 コロナの影響はまさにこれからだ。非正規労働などでコロナの影響を受けている層が確実にいるのと、先に述べたように、個人と社会の接点が薄くて発見までに時間が掛かるからだ。これまでの傾向にコロナが拍車をかけるかたちだ。事故物件は確実に増えるだろう。そもそも当社には去年から事故物件の依頼が増えている。これまでは月10件ほどだったのが、昨年は月15件ほどのペースとなり、今年に入り1月だけで20件以上は回った。日に2現場とかの掛け持ちもあるし、毎日どこかへ行っている。遠方からの依頼も増え、最近は茨城県の北部とか伊豆の南の方とか、愛知県からも依頼があった。(この稿終わり)

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