2023年のバイオメトリクス(顔認証)市場規模は19年の3倍に成長ーセキュリティ関連の国内市場を調査・富士経済

 富士経済が発表した「2020 セキュリティ関連市場の将来展望」によると、2023年におけるバイオメトリクス(顔認証)市場規模は、コロナの影響による非接触需要の増大から、2019年比で3倍となる86億円へ成長すると予測している。静脈認証も拡大を見込む。一方でカード式等の接触型の入退室管理システムの市場は、オフィスビルの設備投資の減少などの影響で短期的には需要が落ちるとみている。

 富士経済では2023年の国内セキュリティ市場について、監視カメラ、アクセスコントロール、イベント監視、家庭向け機器などを合わせて1兆147億円と2019年比で3.8%増を見込んでいる。新型コロナの影響により感染症対応が求められるようになるため、モノ売りからソリューション提案への転換がさらに進んでいくとみている。

富士経済・国内セキュリティ関連市場の将来展望より抜粋

このうち、バイオメトリクスに関しては、2023年は242億円と2019年比で42.4%の拡大を見込む。とりわけ伸び率については顔認証が2019年比で3倍と高い。

富士経済・国内セキュリティ関連市場の将来展望より抜粋


 顔認証は、様々な生体認証システムにおいて唯一の完全非接触での認証が可能。そのため急速に需要が高まっている。これに加えて体温測定機能の追加が容易であることから、オフィスや店舗、役所などの入退室管理で利用が広がっている。今後無人店舗が本格的に拡大するようになると、顔認証の需要はさらに高まる。一方で顔認証の認証精度は、指紋認証や静脈認証などほかの生体認証と比較して低く、コストの高さも課題であるとし、今後の技術開発が期待されるーと展望した。

 現状のバイオメトリクスにおけるスタンダードは静脈認証。生体認証の中での認証精度の高さと速さがメリット。オフィスビルや官庁、データセンターなどで高いセキュリティ性が必要とされる施設において採用が目立つ。さらに基本的には非接触認証が可能であり、指紋認証からの移行が進んでいることから、市場は拡大するとみる。
 製品技術に関しては、認証精度や機能面はほぼ完成の域に達しており、今後は認証精度の高さやコスト面での優位性を訴求した営業展開が進められるとみる。

 一方、入退室管理システム(非接触カード式)はほぼ頭打ち。2020年の見込みは297億円で前年比5.7%減を見込む。2023年は321億円まで回復するが、2019年との比較で1.9%増。2019年は五輪特需で市場が盛り上がったものの、コロナの影響による設備投資の削減、リニューアルの延期などが重なったことが大きい。加えて21年以降はオフィスビルの竣工減、テレワーク普及によるオフィス出社減による設備投資の減少などが影響する。ただし入退室管理システム単体ではなく生体認証との組み合わせによる二要素認証や、勤怠管理システム、来訪者管理システムなど他のシステムとの連携が進む可能性もあり、長期的には市場は緩やかに拡大するとみる。



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