三菱地所グループで、投資マネジメント事業を展開するヨーロッパキャピタル社(Europa Capital、以下 EC 社)は、欧州でコアオープンエンドファンドの運用を始めた。米国に比べ、欧州のオープンエンドファンド市場が小さく成長余力があることに加え、世界的に不動産に資金が向かう中で、コアのインカムを中心としたファンドに対する需要はますます増えていくと判断した。スタート時の資産は4カ国・13物件、規模は約3.5億ユーロ(約455億円)。分散型の長期安定インカムを志向する機関投資家に訴求し、中長期的に20億ユーロ(約2600億円)に拡大することを視野に入れている。
 テクノロジーの進展や都市化など、社会の構造変化などに着目、運用物件は流動性の高いオランダの物流施設、デンマーク・コペンハーゲンの住宅、独ミュンヘンや仏パリのオフィスビルなど。主な投資対象国は、欧州大陸の中でもフランス、ドイツ、オランダ、デンマークで8割程度とし、そのほか、スウェーデン、ポーランド、スペインを潜在的なマーケットに据えている。英国は為替のボラティリティ等を考慮し、本ビークルでは対象としていない。主な投資対象アセットは物流施設・住宅・オフィスとし、足元では、全体賃貸収入の3分の2が物流と住宅。運用物件に商業施設やホテルは一切含まれていない。投資家は欧州を中心に、日本を含むアジアから参加。マーケットやインデックスをアウトパフォームする運用を重視する。
 EC社は1995年に創業し、欧州での投資に特化した不動産マネジメント会社。三菱地所は2010年に資本参加し、欧州における投資マネジメント事業は同社を通じて展開している。オフィス、商業、物流、住宅等、多様な不動産を投資対象とするバリューアッドファンドの運用を得意とし、これまでに11ファンドを組成、欧州21カ国で約117億ユーロ(約1兆4300億円)の投資実績がある。25年間で積み上げてきたネットワークとローカルパートナーを持つことが強みだ。投資においては、流動性の高い市場における分散投資を重視。また、マーケットのサイクルだけではなく、テクノロジー、都市化、環境問題など大きな社会の流れを意識してきた。具体的には物流施設をはじめ、4~5年前からは都市化と若年世代のニーズをとらえ、他社に先駆けてコペンハーゲンでの賃貸住宅投資を始めており、ノウハウを蓄積している。こうした実績とネットワークを活かすため、コアオープンエンドファンド市場への参入を検討してきた。今回のコアファンドで運用するミュンヘンのオフィスビルもバリューアッドのファンドで同市内に先行取得し、想定以上にタイトな需給に手応えを持ち、リスク・リターンを下げた形で別案件の投資を行った。
 本ファンドのファンドマネージャーであるアンディ・ワトソン氏(EC社)は「二極化のマーケットが鮮明になっており、eコマースを背景とした物流施設、ディフェンシブなインカムとして捉えられている住宅が明確な勝ち組。これらアセットはもともと手掛けてきたため、アクイジションでも今まで培ってきたローカルで強固なネットワークがある」と話す。また「三菱地所グループの中で、今回のファンドを立ち上げる前にシードを作って投資家に物を見せながらローンチできたことが大きかった」とし、今後のマーケティングにおいては日本の投資家とも近い距離感を保つ考えだ。
 三菱地所グループは、不動産ファンドの運用業務を行う投資マネジメント事業のグローバルプラットフォームの整備を進めており、ファンド構成の充実を図ってきた。今回のコアオープンエンドファンドは三菱地所にとって、日本、米国に次ぐ3本目。日系グループによる欧州大陸の不動産を投資対象とするオープンエンドファンドの運用は初という。

2021/1/5&15号 不動産経済ファンドレビュー

最新情報はTwitterにて!
おすすめの記事
こちらもおすすめ