トップインタビュー マンション管理の未来 第44回 旭化成不動産コミュニティ社長 小島 速氏(上)

超高齢社会を迎えた中で増え続けるマンションストック。建物の老朽化と入居者の高齢化という「二つの老い」が進み、修繕・改修工事等も含むマンション管理の重要性がますます高まっている。このコーナーではトップインタビューを通じてマンション管理の未来を追う。今回は、建替えや等価交換マンションの管理実績がある旭化成不動産コミュニティの小島速社長に、重点的に取り組んでいる課題や今後の展望などを聞いた。

#手厚い理事会・総会サポートで
           管理組合との信頼関係構築
##人材の定着と育成で質の高い管理を目指す

――マンション管理事業の現状と課題について。
 小島氏 親会社の旭化成不動産レジデンスのマンション供給戸数が累計で1万戸を超えた。このうち当社が管理を受託しているのが約5500戸で、おおむね親会社の供給の6割近くを当社が管理している状況だ。この管理戸数規模で今年度の当社の売り上げがおよそ8億円、マンション管理業だけだと利益は厳しいところだが、利益だけでなく当社として何を目指すべきなのかということは旭化成グループの中で常に議論してきた。旭化成不動産レジデンスグループが供給している分譲マンション「アトラス」で質の高い管理をいかに維持していくかということに重きを置いている。業務の多角化やM&Aによる管理戸数規模の拡大は目指していない。管理戸数は2025年に7000戸ほどに達すれば約10億円の売上規模になると想定している。他社が供給したマンションの管理のリプレイスを狙わず、旭化成不動産グループが供給する「アトラス」をしっかり管理していくことをテーマにしている。
 当社はマンション管理業を23年前から開始しており、一番古い管理物件で築23年だ。マンション管理事業の歴史は他社に比べて浅く、築40年以上のマンションの管理を担う他の管理会社とは課題も異なると認識している。当社の課題は人材の定着と若返りである。管理業務主任者資格保有者を中途採用してきたため、管理業務に携わる者の平均年齢が約50歳であり、離職率も高い。いかに人材が定着し、やりがいを持って健康に長く働いてもらえるか、そして次世代のフロント社員の育成が課題となっている。また、技術系社員も年齢層が高く、なかなか定着していない。当社は大規模修繕工事の請負はしていないものの、企画調整やコンサルティング業務を行っており、この部門の強化も課題である。大規模修繕を控えたマンションに対し、当社が適切な支援ができてないことでリプレイスを検討されてしまうという経験をしており、ここにどう関与したらよいか、専門家を入れて人材の強化を図っていく考えだ。
 また、会計出納業務についてはこれまで経理専門の正社員がいなかったため、派遣社員に頼ってきた。派遣社員は3年ごとに入れ替わるというスパイラルから脱却したいので、事務管理に実績がある企業と組んでアウトソーシングを進めたいと考えている。これらの策を講じて管理の質を高めていきたい。

##理事会・総会を適切に運営
過剰な要求にイエス、ノーを示す

――建替えや等価交換のマンションの管理を数多く手掛けているが、管理業務での特色は。
 小島氏 建替えの場合、もともとの団地やマンションのコミュニティを仕切っていた人が必ずいるので、こういった人とどう信頼関係を築いていけるかが重要になると認識している。手厚い理事会のサポート業務が一番、差がつくところだ。理事会の開催数は平均して2~3カ月に1回で、他社に比べれば多い方かもしれない。理事会での当社に対する要求のレベルも高い。したがって当社のフロント社員の担当する組合数は一人当たり8~10に抑えている。丁寧で質の高い管理をするには理事会・総会の運営をいかにうまくやれるかに掛かっている。
 理事会・総会をうまくサポートするために、当社としてできることとできないことをはっきりさせて、管理組合に理解してもらうことが重要だ。過剰な要求に対してイエス、ノーを示し、当社の意図を理解してもらえるような関係をつくることが求められる。管理委託契約に入っている、本来当社がやるべき業務は何か、少なくとも理事会メンバーには理解してもらい、管理組合を適切に運営していけるようフロント社員の教育に力を入れている。

――管理組合の財政はどうか。
 小島氏 築40年以上の古いマンションは抱えていないので、財政的にひっ迫しているマンションはない。修繕積立金も計画的に値上げができており、管理費徴収の督促件数は少ない。
 しかし今後、築30年40年を迎える管理マンションが出てくるわけだが、しっかりとメンテナンスを施していけば建物は60年持つという考え方がある。大規模修繕にかかる1~2年前からいかに準備して、管理組合の理事会と協力関係を築いて適切に提案していけるかが大事になる。一方で、建物だけではなく住民の高齢化という問題がある。こちらは旭化成グループに対応できる部隊があるので、その部隊をつないでいくことが将来的に高齢化に対応していくことになると思っている。

トップインタビュー マンション管理の未来 第44回 旭化成不動産コミュニティ社長 小島 速氏(下)に続く

月刊マンションタイムズ2021年1月号

マンションタイムズ
おすすめの記事