Jリートの取引価格、住宅は高値圏続く ―SMTRI、オフィスは調整後に再上昇

(提供:日刊不動産経済通信)三井住友トラスト基礎研究所(SMTRI)は、Jリートの売買事例を用いた不動産マーケットの動向のレポートをまとめた。取引価格を用途別に分析すると、オフィスは22年に米国の金利引き上げが進み、国内でも一時的に調整があったが、再び上昇に転じたとする。賃貸市場の悪化でNOIは下落したが、キャップレートの低下はそれ以上のペースで進んで、不動産価格は上昇した。住宅の取引価格は、20年半ばから22年半ばまで高値圏で横ばいが続いたが、22年の後半に上昇。23年は再度、高値圏での横ばい推移となった。

物流施設の取引価格は、21年末から22年末にかけて一段と上昇したが、その後は緩やかな調整に入った。NOIは概ね横ばいで堅調が続いているが、新築施設の大量供給によって賃貸市況が悪化する懸念などを折り込んだ結果、キャップレートが緩やかな上昇に転じている可能性があるという。

また、Jリートの時価総額や預り金、ネット有利子負債の合計と、賃貸可能面積の合計から割り出した買収価値(インプライドバリュー)について、不動産価格の推移と比較をレポートで行った。オフィスは、新型コロナ発生後に出社率の低下から需要が押し下がり、NOIも弱含んで推移。今後も30年頃まで東京以外も含めた複数の主要都市で大きな供給があるため、労働人口の減少や高齢化社会などの影響も見据えた動向とみている。住宅は、買収価値が不動産価格を上回る水準を維持。政策金利の早期引き上げ懸念が後退し、一定のプレミアムを保ったとする。物流施設は、買収価値が緩やかに低下傾向で、23年には不動産価格と同水準に近付いた。22年以降は大量供給や大型増資による投資口希薄化の懸念が影響した可能性を指摘した。

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