(提供:日刊不動産経済通信)三菱地所が国立大学との連携を強めている。これまでに東京大学や東京藝術大学、東京医科歯科大学ら複数の大学と、街づくりや創業支援などのテーマで相乗効果を狙った連携協定を締結。3月には一橋大学との間で、解析データを空間創造などに生かす共同研究の契約を交わした。東京・国立の同大キャンパスに研究拠点を整備し、今春に新設されたばかりの「ソーシャル・データサイエンス学部・研究科」と社会課題の解消につながる研究に乗り出す。
 三菱地所の中島篤社長と一橋大の中野聡学長が19日に一橋大国立キャンパスで会見し、研究の内容や道筋などを説明した。共同研究で三菱地所は、デベロッパーとして都市の開発・運営を手掛ける過程で蓄積した膨大なデータの活用案を探る。例えば街の防犯カメラで集めた画像を防犯強化や警備の省力化などに生かすといった研究が考えられるという。
 国内では人口減少で産業や都市機能の衰退が懸念される。経済学や法学などの社会科学とデータサイエンスの融合を目指す一橋大と三菱地所が知見を持ち寄り、主に都市運営にまつわる課題解消を目指す。築90年以上が経過する国立キャンパスの「東館」を三菱地所が最先端のインキュベーション施設に刷新。今年9月に稼働させ、研究と創業の中核拠点として使う。国立と東京都心の「大丸有」エリアを舞台に、実証実験やイベント開催、人材交流などを展開する。
 会見で中島社長は「街の進化には空間データの活用が不可欠だ。AIやロボットは人手不足の解消に役立つ」と研究の意義を強調。同社クロステック運営部の担当者は「他の大学ともアメーバのように連携したい」と官学連携に意欲を示した。

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