(提供:日刊不動産経済通信)三井不動産レジデンシャルは、個人の生活様式に応じて滞在する場所を柔軟に変えられる「多拠点居住」サービスの試行を始めた。コロナ禍で場所と期間にとらわれない就労や観光の形が支持されていることから、東京都心や地方で展開する自社の高級賃貸マンション「パークアクシス」やグループ企業の施設などを活用し、多様化する居住需要に応える。
新たなサービスの名称は「n’estate(ネステート)」。29日に都内などの10拠点を対象に利用予約の受付を始めた。パークアクシスに家具と家電、洗面用品などを付けて提供する。現行の枠組みでは2年単位の賃貸借契約だが、住宅宿泊事業法などを使い、一泊や一カ月などと利用期間に幅を持たせる。現段階で一泊利用の対象となる施設はパークアクシスの「本所吾妻橋」や「神楽坂・早稲田通り」など、一カ月の施設は「豊洲キャナル」や「札幌植物園前」などだ。サービスの対象施設は順次増やす。
提携企業が持つ千葉県木更津市と埼玉県加須市の施設では、ただ泊まるだけでなく就農体験なども企画する。パークアクシスは東京都内に多いが、千葉、神奈川や名古屋、大阪、福岡など地方にもある。郊外の施設では自然に親しむ付帯イベントを検討する。郊外型施設の利用はメンバーシップ・サービス「三井のすまいLOOP」の会員に限定している。
同社は昨年8月、自社物件などの居住者を対象に、自宅近くで仕事や勉強に打ち込める個人向けサードプレイス「イエチカBASE」を開設した。場所は川崎市中原区のJR武蔵小杉駅近く。ネステートと同様、柔軟な暮らし方を支援するのが狙いだ。