売買の収益性向上、賃貸管理を第2の柱 ―大成有楽不販・村上社長に方針など聞く
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 大成有楽不動産販売は、主力の売買仲介で収益性の向上を図ることに加え、ストックビジネスとして安定する賃貸管理事業を、売買仲介に次ぐ第2の柱へ強化していく。4月1日付で社長に就任した村上善彦氏に今後の方針などを聞いた。  

―就任の抱負を。  

村上氏 新型コロナウイルス感染拡大の大変な時期の就任となり、身の引き締まる思いだ。近年、売上は一定水準を維持してきたが、収益性が低下していた。収益性向上を喫緊の課題として取り組む。前期の売上は約125億円と前年度並みを維持したが、利益が減少した。主軸の売買仲介の収益性低下が原因で、営業担当者の生産性を上げなくてはいけない。反響を取り、媒介を取り、成約させるという仲介の流れの中で、媒介取得率を上げることが重要。反響は多く取れたが、営業担当者が1人で何件も同時に抱えてしまい、対応しきれず査定や媒介まで持っていけないこともあったので、見直していく。また、費用対効果を意識し、紙(チラシ)やネットなど媒体ごとに効果測定し検証する作業も始めた。郊外ではチラシが有効なエリアもまだ多い。エリアにあった販促を進めていく。

 ―売買仲介の近年の動向をどうみていたか。

 村上氏 中古住宅の流通市場は、ここ数年間は堅調に推移していた。当社は比較的、千葉など郊外の実需に強く、価格帯は4000万円前後がボリュームゾーン。郊外の低価格帯の2000万円台、3000万円台は安定的によく動いている。都心部は大手の出店攻勢もあり、競争が激化して媒介取得数や成約数を減らしてしまっている。

 ―コロナ禍の足元の状況と今後について。

 村上氏 成約件数は6月も前年割れが続いたが、4、5月と比べると減少幅は縮小した。都心部の方がコロナに対する意識が強く、日々の報道で感染者数が増えると売り主の動きが鈍くなるなど、反応が如実に出ていた。高価格帯は買主側の反響はあるが、売り物件がなかなか出てこない状況だ。リーマンショック時のような売り急ぎもないので、今後も価格は急激に下がることはないだろう。動きがあるとすれば年明け頃。年末までに各企業の業績がはっきりし、悪化した場合は賃金への反映など経済への影響が顕在化するので、中古市場にも少なからず影響が出るのではないか。低価格帯や中価格帯は実需なので、影響は少ないだろう。

 ―売買仲介の今後の戦略に関しては。

 村上氏 昨年、目標の40店舗を達成したので、今後は各店舗での採算性を上げ、エリアマーケティング機能も強化したい。強みの郊外エリアでは、コロナ後はテレワーク普及によるワークスペース需要の高まりによって、戸建ての取引が増えてくるとみている。当社のマンションと戸建ての取り扱い比率は、エリアによっても異なるが平均でマンション78%、戸建て22%と、他社よりも戸建ての割合が大きいのではないか。大手は圧倒的にマンションが多いと思うので、当社は強みを生かし戸建てにより注力する。

 ―賃貸管理の事業について。

 村上氏 コロナの影響はなく、ストックビジネスは安定していると改めて実感した。各社とも安定収益を求めて、賃貸管理に力を入れ始めているので、競争が激しくなるだろう。当社の売上構成は売買仲介が50%、新築の受託販売と買取再販で30%、賃貸管理が15%程度。賃貸管理を30%まで拡大できると収益が安定するので、売買仲介に次ぐ第2の柱に育てたい。1棟管理に力を入れるため、グループ会社との連携強化のほか、パイプ作りにも力を入れていく。

2020/07/22 日刊不動産経済通信

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