(提供日刊不動産経済通信)三幸エステートは全国主要都市の6月末時点のオフィス需給動向をまとめた。東京都心5区の大規模ビルの空室率は前月比0・31㌽増の4・47%と4カ月連続で上昇。企業の解約と二次空室が増加基調だ。坪当たり募集賃料は78円減の2万8134円と下落幅が縮んだが、実質的な値引きとなるフリーレントも多い。大阪では大口の成約が増え空室率が小幅に低下。名古屋は小口需要が多く空室率は5%が目前だ。
 東京都心ではオフィスの使い方を見直す企業が増えている。出社を前提としない働き方が地方よりも浸透している上、床を返すことによる固定費削減の効果も大きいからだ。空室率は4%台半ばに達したが、この数字は13年後半と同じ水準。ただ当時はテナントの需要が旺盛で空室率は急下降していた。既存ビルと建築中のビルを合わせた募集面積は3月から70万坪前後が続く。このボリュームは12年とほぼ同規模だが、今は当時よりも需要が弱い。借り手優位の傾向が鮮明だ。
 大阪市中心部の空室率は0・12㌽減の4・19%とやや低下。好立地への移転や拠点開設、ビルのグレード・アップを図る転居などが増え、空室が消化された模様だ。募集賃料は28円減の1万8449円と3カ月連続で微減に。梅田から本町にかけての賃料が割安なビルに大口の成約が集まる。一方、新築や高価格帯のビルは小口の需要が強く、空室消化のペースが落ちているという。募集床は15万坪超と借り手市場が続く。
 名古屋市中心部の空室率は0・01㌽増の4・98%と5%に迫る。潜在空室率は0・03㌽増の6・8%と6%台後半が続く。募集面積は約5年ぶりに15万坪を超えた。

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