コリアーズ・インターナショナルはアジア太平洋地域(APAC)における第3四半期(3Q)の不動産市況を独自に分析した報告書を公表した。コロナ禍から脱しつつある中国やシンガポール、香港、オーストラリアなどが牽引し、不動産取引が復調しつつあると指摘。インドが段階的に活動制限を解くなど移動や投資の制約がなくなりつつあり、年末にかけて広域で取引が増えると展望している。
報告書では主要国の不動産市況が回復または安定しつつあると分析。新型肺炎の感染が再び拡大する懸念も残るなか、楽観的な見方が強い内容だ。中国では政府主導で商業を中心に投資需要が戻りつつある。シンガポールの不動産投資額は前期比78%増の29億2000万米ドル、台湾の商業用不動産取引額は324%増の23億ドルと急増。ミャンマーでは海外からの投資額が前年の4倍になり、インドネシアとベトナムでも住宅や物流などへの投資機会が増えているという。
シンガポールでは行動制限の解除で投資の機運が高まり、商業、住宅、工業などの領域で取引が活発になった。IT企業らの出店でオフィス分野の成長が期待できるとしている。中国では北京でA級オフィス市場が復調し、上海でも投資家主導のオフショア取引額が前年比20%増に拡大した。内陸の西安でもリテールの投資機会が増えると予想する。
不動産価格が下落傾向の香港では中国本土の投資家らが逆張りを狙う。過去1年に政府が香港で売却した13件の土地のうち6件を本土の企業が買ったという。東京では首都圏のオフィスや23区の住宅のほか、データセンター投資がさらに注目されると予想している。
2020/10/28 日刊不動産経済通信