【改正マン管法】大阪のタワマンで修繕積立金3倍引き上げも 改正法をきっかけに組合の意識変わる

 改正マンション管理適正化法・マンション建替円滑化法を契機に、将来の適切な維持管理のために修繕積立金を引き上げたマンションも現れた。現行の修繕積立金から3倍近く引き上げたのは、大阪市北区にあるタワーマンションだ。
 このマンションの住戸数は約400戸で、築年数は9年。鉄道駅に直結し、低層階に商業施設が入る複合型となっている。分譲当初の修繕積立金は1㎡当たり50円で、段階増額方式により築5年の段階で80円に引き上げていた。このほど、均等積立方式に変更するとともに、積立金を㎡当たり245円と現行から3倍超に改定した。
 管理組合では、築6年の段階で長期修繕計画の見直しに着手。その中で、段階増額方式では計画期間30年の最終年で300円と大幅に値上げとなることが懸念され、均等積立方式への切り替えが検討されるようになった。
 顧問契約を結ぶマンション管理士の長尾隆弘氏は「段階増額方式で値上げのたびに合意形成を進めると、金額が高くなるほど厳しくなる」と、合意形成が支障となり将来の適正な管理が維持できなくなることも懸念し、均等積立方式を提案。住戸ごとに段階増額方式と均等積立方式での金額差を比較できる表を作成したほか、全住民を対象にした説明会の開催も行ったこともあり、総会では修繕積立金の引き上げや均等積立方式への切り替えは反対なく決議された。
 合意形成を図る中では、改正法の趣旨である将来にわたってマンションが適正に維持管理されることの重要性が生かされた面もある。「修繕積立金が40年後も50年後も良好な環境で住み続けられるマンションであるために必要な資金であることを理解してもらうことは重要だった。適正に管理されれば子や孫にもマンションを資産として残せるが、そうならなければマンションのモラルも低下しマイナスの資産として子や孫に残してしまうことを話したのも説得材料になった」(長尾氏)。国が作成していた修繕積立金に関するガイドラインが見直され、管理計画認定制度の認定基準と関連付けられた点も見直しに寄与した。長尾氏は「ガイドラインではタワーマンションの修繕積立金は240円が下限値となったことで、この基準を満たす必要があるという説得材料ができたのも大きかった」と話す。この管理組合では長期修繕計画や修繕積立金を認定制度の基準を満たすように設定したことから、管理規約を見直し次第、認定を取得する方針だ。

 2022/6/5 月刊マンションタイムズ

マンションタイムズ
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