中古マンションは管理を買えと言われるが―ヒントはコーポラティブハウスにあり?―  (有)studio harappa 村島正彦(上)
(有)studio harappa 代表 村島正彦

仕事柄、知人・友人などから中古マンションの購入の相談をしばしば持ちかけられる。「築○年のこんな中古マンションだけど、買っていいものだろうか?」、そんな相談だ。

「マンションは管理を買え」と言われるが・・・


 購入相談を受ける中古マンションのハード面(耐震性能等)については、ある程度分かり得ることなので、この記事では割愛する。
 中古マンション購入の指南書・ネット記事などを見ると「中古マンションは管理を買え」と書かれている。この「管理」というソフト面は、私も購入のポイントとしてはとても重要であると考えるものの、判断に迷うし、アドバイスもなかなか難しい。 

 「管理」とは、「マンションの区分所有者によって組織される管理組合が、そのマンションの修繕を含む維持管理を適正に行っているか。健全な組織また健全な財務状況であるか」と説明できる。

 しかし、その中身については、外からはなかなかうかがい知れない。管理規約や修繕履歴・計画や修繕積立金の状況については、組合が型どおりに出す資料を確認することができよう。ただし、仲介業者を介したやり取りとなるので、購入意向がかなり本格的になってからでないと得づらい。また、情報がきちんと揃えられるか、しかもそれらが正しいかどうかも不透明だ。

 多くの指南書には、「建物の修繕が適切に行われて外観など美しいか(大規模修繕等の健全な実施の裏付け)、自転車置き場・ゴミ置き場などが荒れていないか(住民の健全な自治が行き届いているか)などを観察すること」と書かれているが、これはまことに情緒的である。
国が5年ごとに行っている「マンション総合調査」(最新は平成30年度)の結果を見たり、個別のマンション管理組合の聞き取りなど行っている感触からすると、健全な管理組合運営が行われているマンションは少数派であるという印象だ。

 国が音頭を取って進める「住宅履歴情報の整備」に関しては、「マンションみらいネット(マンション履歴システム)」(2006年から公益財団法人マンション管理センターが運営)が形のうえでは整備されている。これは、管理組合が修繕履歴などの情報を整理・登録して、マンションの資産価値の維持向上に寄与することを目的としている。ただし、そもそもの登録数が少ない。分譲マンションの多い東京都で、現在の登録はわずか121管理組合(相談を受ける購入候補の物件がこのリストにヒットすることはまずないレベルだ)。逆説的には、少ないがゆえに、登録されているマンションは、管理に意欲的な優良な管理組合と言えよう。

中古マンションは管理を買えと言われるが(下)へ続く

2022/4/20 不動産経済Focus&Research

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