野村不動産は単身世帯向けや夫婦のみ世帯(ディンクス)向けの分譲マンション事業を拡大していく。同社が展開している「プラウド」シリーズのマンション事業は専有面積の広いファミリータイプが主流だったが、ファミリー層が減少し、単身世帯やディンクスが増加する傾向にある昨今の環境変化に対応する。
他の大手デベロッパー各社はここ数年、少人数世帯向けにコンパクトマンションの供給を強化してきているが、野村不動産はこれまでコンパクトタイプに積極的に取り組んでこなかった。その理由について、同社の松尾大作・取締役兼専務執行役員住宅事業本部長は「ファミリー向けの成功体験が強過ぎた」と話す。国立社会保障・人口問題研究所によると、首都圏の世帯数は単身世帯がここ15年で大幅に増加しており、今後もさらに増えていく。夫婦のみの世帯もゆるやかに上昇が続くと予測。一方でファミリー世帯は今後10年で20万世帯以上減少すると予測している。松尾氏は「ここ数年、危機感を持っていた。ファミリー向け一辺倒で展開してきた事業からの脱却を目指し、市場の変化に合わせて都心部での単身者向けも積極的に供給する。すでに用地取得もできている」としている。
今後の用地取得については、「コロナ禍の影響でホテルや飲食店を中心とした商業ビルが売却されるようになる可能性はある。また、企業が保有している不動産の売却情報はここ数年ほとんどなかったが、今後は出てくるのではないかと期待している」(松尾氏)。同社のマンション供給戸数は再開発型のプロジェクトが少なかった影響で、ここ2、3年は減少していたが、来期(22年3月期)は増加する見通し。
2020/10/30 日刊不動産経済通信
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