国交省、墨田区向島の長屋再生に着目 不動産業者と地域連携、アートで差別化
暇と梅爺(HPより)

 (提供=日刊不動産経済通信)国土交通省は9日、「『ひと』と『くらし』の未来研究会」の第2期3回目を開催した。地域の不動産業者が核となり、各地で「幸せなくらし」の実現に取り組む事例収集を進める同研究会。今回は東京・墨田区向島に着目し、下町の老朽長屋の再生を実践する不動産業者を招いた。異なる立場のプレーヤーとの共創も研究会のテーマで、長屋の家主ら協力者も登壇した。

 メインスピーカーは、老朽物件を改修し、アーティストなど様々な借り手を集めて、サブリースで17件管理運営する、暇と梅爺㈱代表の後藤大輝氏。アートイベントと空き家活用を掛け合わせ長屋の魅力を発信する、すみだ向島EXPOの実行委員長としても活動する。「新たなスキームに挑戦している。借地権付き建物を購入し(将来自社購入を前提に当面は協力会社が資金提供)、改修とテナント付けで中身を資金が回るようにするというもの。昨年4件動いた」(後藤氏)。

 フリーディスカッションで、借地権付き建物の利回りについて問われた後藤氏は「10%以上の利回り。新築より予算が抑えられ、10年くらいで回収できる」と回答。ただ、1物件の中を小分けして貸しているため、全て埋まると高い利回りになるが、テナント集めにはまだ課題があることも説明した。

 10年に後藤氏から物件を貸して欲しいと連絡を受けた地主の深井輝久氏は、「当時いろいろな業者から(土地活用の)提案を受けていたが、高層ビルの話ばかりだった。人口減少時代にほかのまちと同じことをやっていても、墨田区にあえて人が来てくれるのかと疑問があった」と、アートによる地域価値の付加に取り組む後藤氏に貸すことに決めた理由を語った。

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