国土交通省、要除却認定の対象拡充が施行
マンションタイムズ

外壁剥落などで敷地売却、バリアフリー未整備などで容積緩和

改正マンション建替円滑化法のうち、要除却認定の対象拡充に関する部分が昨年12月20日から施行となった。これまで耐震性不足のマンションにのみ適用されていた認定要件に、外壁剥落の危険性やバリアフリー不適合など4つの要件を追加した。国土交通省は施行に合わせ、基本方針や認定
基準の告示、要除却認定実務マニュアルを整備している。

 新たに加わる要件は、火災安全性不足や外壁等剥落の危険性、配管設備の劣化、バリアフリー不適合の4つ。このうち、火災安全性不足と外壁剥落は基準を満たせば敷地売却と建替え時の容積率緩和が認められる。4月1日から施行される団地型マンションの敷地分割事業の実施も可能になる。配管設備の劣化とバリアフリー不適合は容積率緩和が認められる。国交省が整備した要除却認定実務マニュアルは、基準の概要や調査・判定方法を記載したほか、要除却認定を受けるための申請手続きの方法や認定に向けた審査手順を示した。例えば外壁等剥落危険性に関しては、各方位の壁面やベランダ、外気に当たる廊下など8つの部位を対象に、一定範囲の状態を判定式から算定したグレードで評価する「判定式」を基本に審査する。判定に当たっては、調査部位を一定の範囲に分割し、その範囲での劣化状況を目視で確認。マニュアルでは、ひび割れの状態や錆汁の出る状況などからどういった劣化のグレードにあるかわかるように写真を添付した。劣化した状況が見受けられた箇所を全体の調
査個所で割った値が基準値を超えれば認定の基準とする。調査資格者は一級・二級の建築士となっている。

 認定手続きの流れとして、まずはそれぞれの要件で調査資格を持つ専門家を選定し、調査、判定を行う。その結果を踏まえ、管理組合の総会で要除却認定の申請に関する決議を得るなどして申請に関する組合としての意思決定を行う。場合によっては事前に管理規約で要除却認定の申請に向けた方法を定めておくことも示した。その後は、組合の意思決定が行われていることと基準を満たしていることを示す書類を添え、住棟単位で申請することとした。マニュアルでは申請書類の参考様式も示している。
 同法の基本方針も施行を前に改正された。耐震性はあるものの人命への危険があるものや配管設備の劣化など住宅としての基本的条件を欠く老朽マンションが急激に増大していくおそれもあると
し、そうしたマンションへの対応を念頭に置いて改正されている。管理組合に対しては、要除却認定の申請に当たっては専門家を活用し建替え・再生だけでなく改修も含めた検討を求めた。国に対
しては、要除却認定の申請が適切で円滑に行われるよう、自治体と連携して認定基準や申請手続きに関する知識の普及などを求める。また、都市再生機構が状況に応じ建替えのために必要なコーディネート業務を行う点も記載した。

2022/1/5 月刊マンションタイムズ

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