≪不動産経済ファンドレビュー≫一次取得層が無理なく買える―狙い目・穴場の沿線市場を見る②
不動産経済ファンドレビュー

ユーザーの妥協できる点は「広さ」
交通利便性と相対的な割安感が絶対条件

   以前と比べて、ユーザーの物件選別のハードルは上がっており、妥協出来る点と出来ない点が明確になっている。妥協できる点は「広さ」。家族数も少なく、ファミリーでも2~3人世帯が大半で、所有欲も少なく家具・衣類等の持ち物も厳選。コンパクトに暮らすライフスタイルでもあり、それゆえ広さに対するこだわりも少ない。それよりも、無理をせずに買える価格優先の志向が強まっている。一方で趣味や余暇時間といった自分の時間の過ごし方など、ライフスタイルに対するこだわりは強く、通勤に費やす時間を「無駄」と考える意識が強まっている。

   DINKS、DEWKS等の共働き世帯の爆発的な増加も影響している。そのため、「検討対象のマンションの交通利便性に関しては妥協できないとするユーザーが増加していると判断される」(杉原禎之トータルブレイン副社長)。しかしながら沿線力の高いメジャー路線や、評価が定まった人気エリアは市場相場も高く、一般層が簡単に手の出せる価格水準ではない。穴場は、過去の沿線・駅評価・エリアイメージ等によって評価及び人気が薄く、利便性の割に割安だった市場ばかりだ。

    エンドユーザーは、過去のエリアイメージにはそれほどこだわっておらず、コストパフォーマンスの良い沿線・エリア・立地を探している。過去のマイナスイメージよりも将来期待(未来志向)が強い。そもそも過去のイメージを知らないケースも多い。しかしながら、エンドユーザーが穴場志向になるのは、そのエリアが割安だからであり、用地取得競争によって価格が上昇すれば魅力は半減する。つまり、相対的な割安感が絶対条件だ。

   今回の狙い目エリアには、まだ空地・駐車場等の未利用地、低利用地が多く、土地の希少性もそこまで高くないため、開発用地の供給が期待できる反面、需給バランスも崩れやすい。ターゲットとなる一般層の購入体力は上がっていないため、杉原副社長は「用地取得の際には、競争による開発用地の高値取得を控え、売値の上昇を最低限、建築費上昇分程度までに抑える必要がある」と指摘。そして一般層があまり無理せずに買える現状の市場相場水準を維持することが、「今後も穴場エリアを狙い目エリアとして残していける唯一の方法となる」(同)と見通す。

https://www.fudousankeizai.co.jp/publicationCatelist?cateId=5&id=22不動産経済ファンドレビュー

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