地域福利増進事業、全国初事例を報告 新潟の粟島浦村、不明土地を防災空地に
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 所有者不明土地特別措置法で創設された地域福利増進事業制度で、全国初となる事例が報告された。新潟県粟島浦村の所有者不明土地を含む653㎡を、防災空地として整備し避難場所に指定するもの。このほど行われた国土交通省の国土審議会土地政策分科会企画部会で発表された。  地域福利増進事業は、所有者不明土地に最長10年間の使用権を設定し、地域住民などの福祉や利便の増進を図る施設整備を行う制度。原状回復が可能なものに限定されるが、事業主体は限定されない。

 このほど制度の手続き上で初めて粟島浦村が知事への裁定に至り、事業実施にメドをつけた。対象地は雑草が茂っている状態で、全7筆のうち3筆で相続登記がされていなかった。3筆の相続人は61名おり、約2年かけ所有者探索を行った後、最終的に13名が不明だった。9月14日に裁定申請がなされ、同24日公告を実施、現在は縦覧中。6カ月の縦覧後、不明者が名乗り出ず事業に反対の申し出もなければ、知事の裁定を経て事業実施に至る。

 初事例が報告された企画部会では、特措法施行3年目の見直しを進めている。地域福利増進事業は、実施事業に再生可能エネルギー関連施設(再生可能エネルギーの地産地消に資する発電設備や蓄電池設備など)の整備事業を追加することや、使用権の上限10年の延長などを検討中。また、同部会では公共事業の用地取得業務でも所有者不明土地が大きな支障になっていることが報告された。特措法の見直しに合わせ、全国10地区で設置されている所有者不明土地連携協議会の活動内容拡充など、今後の方向性が示された。(日刊不動産経済通信)

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