大阪府・市は28日、大阪市此花区夢洲に誘致を目指す統合型リゾート(IR)を開発・運営する事業者に、米国のMGMリゾーツ・インターナショナルとオリックスらで構成する企業グループを選定したと発表した。カジノや国際会議場、娯楽・飲食施設、3つのホテルなどで年に5400億円程度の売上げが期待できると提案し、審査を通過した。大阪で事業化されれば、訪日客減少などで苦境に立つ関西圏の地域経済が再び底上げされる可能性がある。
府と市は事業者らとともに区域整備計画を作り、来年4月までに国に提出する。ほかに和歌山、長崎両県も誘致を表明している。各自治体が出した計画を踏まえ、国が3地域を上限に事業化の可否を決める。ただ可否判断の時期は現段階で決まっておらず、国内で必ず事業化されるという保証はない。市IR推進局は「事業化される内容だと確信して事業者を決めた」と話す。
横浜市が市長交代でIR誘致を撤回し、代わって東京都が誘致に名乗りを上げるとの観測も浮上しているが、「大阪府・市が事業者選定に1年9カ月かかったことを勘案すると、東京都の参入はスケジュール的に不可能に近い」(不動産関係者)との見方がある。
大阪で事業化されれば、大阪圏全体に大きな波及効果が見込まれる。年間来場者数2050万人、雇用者数1万5000人などと試算している。IR開業を見据え市内には不動産開発の動きがある。今春には東京建物とシンガポールのデベロッパーが北区堂島にラグジュアリーホテル「フォーシーズンズホテル大阪」と466戸の分譲マンションで構成する超高層複合タワーを開発する計画を発表した。(日刊不動産経済通信)