土地の私権制限と公有概念-政治学者・竹井隆人(上)
政治学者 竹井隆人

私権制限は現憲法で可能なはず


 昨今、武漢肺炎(新型コロナ)の対策として、我が国民の行動や営業の自由や権利を制限することが焦点となり、そのために「憲法改正による緊急事態条項の追加」を主張する声が大きくなっている。しかしながら、現憲法では国民の自由や権利が絶対的なものと位置づけられているわけでなく、「公共の福祉」によって制限されることが明記されている(13条、29条など)。よって、私は(狂信的にさえ映る)護憲派ではまったくないのだが、憲法をわざわざ修正せずとも、「公共の福祉」の根拠を明確に示す法律の制定により「私権制限」は十分に可能なはずと思う。つまり、現状の「緊急事態宣言」なるものが腰の引けた「私権制限」に留まり、そのしわ寄せが現場の地方行政に向かい、勝手な裁量による「自粛要請」に終始したことに世間の批判が強まったのは、ただ人権だの自由だのを殊更に強調する活動家や彼らを後押しするマスコミからなる反対勢力を押し切って、「私権制限」を盛り込む法律を制定する論理と覚悟を施政者が欠いていたことに問題の本質があるように思うのだ。


 この私の見立てを裏付けるのは、今月に国会で自衛隊基地や原子力発電所など、安全保障上の重要施設の周辺の土地利用を「注視区域」等として規制する法案が(10年以上掛かって)やっと可決されたことだ。そもそもは外国資本による土地の「買収」を制限する目的だったのが、揉まれていくうちに「利用」の制限へと後退してしまい、しかも「私権制限」の内容や方法についてはスカスカの“ザル法”という代物になり果ててしまった。たとえば、我が国の軍事施設の周辺地を敢えて購入しようとする輩(外国人)など、どう考えても工作員(スパイ)でしかないはずだが、我が国を攻撃しようとする反日勢力、そして、それらから支援を受ける議員やマスコミに譲歩を重ねてしまった結果、この体たらくに陥ったに違いないのだ。

土地の私権制限と公有概念-政治学者・竹井隆人(下)へ続く

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