大和ライフネクストの「マンションみらい価値研究所」は、分譲マンションの長期修繕計画に関わる2本のレポートを、このほど公開した。築40年のマンションの修繕工事費の支払い状況を調査・分析したレポートから、築33年目までに一定の修繕費用が必要となったことが明らかになった。加えて、分譲時から長期修繕計画のある築24~25年のマンションで修繕積立金の額の推移を調査・分析したレポートでは、増額改定が難しい実態がわかった。
 ㎡当たりの修繕工事費の支払い状況を扱った「築40年を経過したマンションの修繕工事費の実績(事例研究)」では、大和ライフネクストが管理を受託する築40年の物件のうち、首都圏8物件・近畿圏4物件を調査・分析した。修繕工事費の発生が早い「前倒し型」物件と、遅い「後ろ倒し型」物件に大別でき、両者の差は33年目に最も少なくなった。
 築24~25年目の8物件を対象にした「長期修繕計画に基づいて積立金の改定はされているか(事例研究)」では、長期修繕計画の見直しが実施されても、積立金の増額決議は遅れる場合が多い状況が浮き彫りになった。事例では、積立金の増額がなければ7物件で修繕工事費用が不足するとして、増額改定が遅れれば値上げ幅が大きくなり、好ましくないとしている。
 2つのレポートを合わせて、資産価値の判断には、重要事項説明書で開示される積立金残高と修繕履歴のを考慮する必要があるとした。なるべく早期の修繕工事の実施は、不動産流通の観点から資産価値の維持・向上につながるとして、実効性を持った資金計画の策定と、修繕工事費用の効果を最大化するために工事は遅らせるべきではないと報告している。(日刊不動産経済通信)

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