タスがまとめた「コロナ後の首都圏住宅市場の見通し(前篇)」によると、コロナ収束後の市場動向として、コロナ禍に伴うテレワークの拡大がコロナ収束後は続かず、「9割がたコロナ以前の状態に戻る」と指摘している。
新型コロナウイルスによる外出制限により、海外はもとより日本でもテレワークが急拡大した。日本では第1回目の緊急事態宣言(20年4月~5月)下が本格的なスタートの時期となる。一時はテレワークの実施率も高まり、過半数の従業員がテレワーク継続を希望していた。
ただし海外ではテレワークからオフィス勤務に戻りたいと感じている従業員の比率が6割に達し、オフィス回帰希望者は若年層ほど顕著だった(ジョンズ ラング ラサールの「新型コロナウイルスがオフィスワーカーに与えた影響に関するサーベイレポート vol.2」より)。
また日本でも同様に、テレワーク環境の不十分さなどを理由に、5月の時点で従業員の約6割がオフィス回帰を望み、オフィス回帰希望者の割合の増加率は20-39歳で顕著だった(SMBC日興証券の「消費者が考えるコロナ後の世界:サービス中心の消費回復を期待」より)。
テレワークを利用する従業員の割合も大きく減少。第1回目の緊急事態宣言下には、テレワーク頻度が週に20%以下(1日以下)と回答した人の割合は18.9%しかいなかった。だが3回目の緊急事態宣言下の21年5月には52.4%と、半数以上でテレワークの頻度が減った(東京商工会議所の「中小企業のテレワーク実施状況に関する調査」より)。欧米でもテレワーク率は昨年から大きく減少、現在は15%前後とみられる。「新型コロナウイルスの感染が収束すると、テレワーク率はさらに下落し日本は10%以下まで減少する可能性が高い。テレワークを機に地方・郊外移住が進むとの期待があったが、データからはコロナ前の状態に9割がた戻りそうだ」(タス)とした。