三井不動産は、街の新たな価値を創出する狙いから、モビリティ領域の取り組みを始動させた。社内の事業提案制度で提案された「MaaS」と「移動商業店舗」を事業化する。人とコンテンツの移動を促し、不動産とモビリティを結びつけることで、不動産をサービスとして利用する「リアルエステート・アズ・ア・サービス」を推進する。
コロナ禍を契機に進んだアセットのボーダレス化を踏まえ、MaaSによるアセット間の移動、移動式サービスによる不動産(店舗・サービス、ワークスペース、ホテルなど)の“移動産化”を図る。移動の自由を提供し、コンテンツが顧客の近くへ来ることで街全体の魅力を底上げする狙いだ。
MaaSは9月から「柏の葉」で実証実験を実施。今月から日本橋と豊洲でも開始する。バスやタクシー、カーシェア、シェアサイクルをアプリで予約や決済ができる月額料金制のサブスクリプション方式で導入する。まずマンションを中心に小さなMaaSコミュニティを形成。次の段階として商業施設やオフィスビル、ホテルも含めたMaaSを導入し、さらにコミュニティ間もつないでいく構想だ。
移動商業店舗は、移動販売車両を商業店舗にリースし、店舗と様々なスペースをマッチングする事業。タワーマンションの空地やオフィス街など、ニーズが高まる場所や曜日、時間帯に応じて車両を移動させ、効率的に売り上げを伸ばす。ユーザーにとっても新たな商品と出会う機会を提供する。晴海や豊洲、板橋、千葉市、日本橋で既にトライアルを実施し、ユーザーやテナントから好評を得た。
日刊不動産経済通信