建物の沈下修正事業を展開するアップコン(川崎市・松藤展和社長)は21日、東京証券取引所 TOKYO PRO Market 市場に上場した。同社は独自に開発した工法「コンクリート床スラブ沈下修正工法」を用い、倉庫や住宅などのたわんだ床下にウレタンを注入、ウレタンを床下内で膨らませて床を持ち上げ、床上を水平に修正する事業を展開する。
公共工事と民間工事双方を手掛けており、民間工事では工場、倉庫、店舗、住宅など、住宅は地盤沈下などで傾いた戸建て住宅の沈下修正で多数実績がある。ウレタン注入による沈下修正工事は、ジャッキアップなど他の工法に比べ短工期でコストメリットが高い。
施工手順は既設のコンクリート穴にドリルで16ミリの孔を開け、ウレタンの特殊樹脂を床下の軟弱地盤へ直接注入する。床下に入った樹種は短時間で発泡し、圧力によって床を持ち上げる。測量機器でミリ単位で測定しながら水平位置でピタッと止める。
同社はこの工法を開発した松藤社長が2003年に創業。「創業当初はこの工法で住宅の傾きが修正できるという確信がなかったが、2005年頃に住宅の床に施工したところ床が上がり、ビジネスになることがわかった」と話す。その後2011年の東日本大震災で千葉・浦安の住宅団地が液状化、同エリアにおける戸建て住宅の不同沈下の修正工事を40件ほど手掛けた。この時手掛けたある戸建てでは、最大沈下が約60ミリあったが1日半〜2日で修正した。
浦安の工事では建築面積が70㎡の戸建て住宅で施工費は200万円程度。沈下修正の工法は他にジャッキアップや薬液注入などがあるが、戸建ての場合、これらの工法では施工期間が1ヶ月以上、工費は4、500万円以上は掛かるという。そのため「工期が短く、コストメリットがあるため、ウレタン注入工法は競争力が高い」(同社)とする。
今後はさらに研究開発を進め、杭状地盤改良工事や無電柱化工事など、新分野にも進出していく方針。