区分所有法の改正へ法務省、国交省が議論 建替え決議5分の4要件の緩和など焦点
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建替え決議要件の緩和をめぐり、法務省、国土交通省と有識者が参画して議論する「区分所有法制研究会」がこのほど発足した。区分所有者の高齢化や相続による所有関係の複雑化などで、建替えに向けた合意形成が今後さらに難しくなるとみられる中、建替え決議に必要となっている区分所有者・議決権の5分の4以上の賛成という要件を緩和すべきかなどが議論される。

 研究会では、建替え決議のあり方を議論の中心としつつ、社会情勢と関連する区分所有法上の課題についても考え方を整理する場とする。建替え決議に関しては、区分所有者・議決権のそれぞれ5分の4以上の賛成を緩和することの是非を軸とし、そのほかの緩和策についても検討。具体的には、多数決要件の単純な引き下げや、所在が不明な区分所有者や賛否を明らかにしない区分所有者を除外した決議の仕組みの手法、管理規約で多数決要件の緩和を認めるなどの建替え決議要件の任意規定化がイメージされている。また、団地内の建替えに向けても要件の緩和やその方法の是非も議論する方針。さらに、区分所有法で建替え以外の再生手法についての是非も議題とする。合わせて被災マンション法の再建決議等の要件緩和の是非なども対象に加える。研究会の座長は佐久間毅・同志社大学大学院司法研究科教授が務める。

旧・石神井公園団地

 会合では「現場では意思表明をしない区分所有者の扱いで苦労する声もあり、そうした人をプラスにもマイナスにもカウントしないのは考えられる」「団地の一括建替えでの5分の4要件と、単棟建替えの5分の4では意味合いが異なる」など、要件緩和を前向きにとらえる意見があった一方、「要件を緩和しても、現実には4分の3程度の賛成がないと建替えが動かないと聞く」など慎重な議論を求める意見も寄せられている。また、マンションの規模に応じた決議要件の類型化など新たなアプローチを模索する意見があったほか、売渡請求時の時価の考え方や、共有持分としている区分所有者の議決権の扱いといった課題も挙げられた。
 法改正の議論をめぐっては、2020年に政府の規制改革会議で俎上に乗り、老朽化したマンションの再生が円滑に進んでいるとは言えない状況にあることから、関係省庁や法律・都市計画の専門家、事業者などを交えた検討の場を設け、建替え決議のあり方を議論する方針となっていた。

2021/6/5 月刊マンションタイムズ

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