トップインタビュー;マンション管理の未来㊽ 日本ハウズイング社長 小佐野 台氏(上)
日本ハウズイング・小佐野社長

超高齢社会を迎えた中で増え続けるマンションストック。建物の老朽化と入居者の高齢化に加え、管理員の高齢化という「三つの老い」が進み、修繕・改修工事等も含めたマンション管理の重要性がますます高まっている。このコーナーではトップインタビューを通じてマンション管理の未来を追う。今回は、中期経営計画「PLAN23」の3年目に差し掛かり、DX(デジタルトランスフォーメーション)にも取り組む日本ハウズイングの小佐野台社長に、新たな戦略や政策要望などを聞いた。

適正管理評価制度のスタートに伴い取り残されるマンションに支援を

#支店の拠点を分散化・サテライトオフィスとして利用可能に

――マンション管理事業の課題と戦略は。

 小佐野氏 第三事業部が管轄している埼玉県内を中心とした4拠点を9つに分けた。これまで支店が担当する管理組合数は多いところでは300を超えていた為、1拠点が担当する管理組合の数を100~150に抑えていくことにした。1拠点に配置するフロントの数は10~15人に絞り、事業部に業務を集約することにより、事務は2~3人にした。昨年10月より随時、各拠点に準備室を設け、今年3月末まで試行した結果、見えてきた課題を整理した。その結果、今年4月からは埼玉県内を中心に範囲を広げて9拠点を開設し、今年10月頃まで運用し、その結果を検証していく。その上で将来的には他の事業部にも展開していきたい。顧客満足度向上の為、より地域密着を図り、現場に近い拠点を増やしたことで固定費はかかるが、事業部に集約した業務等をいかに効率的に進められるか、そのバランスを見ながら 試行しているところだ。

全ての従業員が各拠点をサテライトオフィスとして使用することができる。BCP(事業継続計画)対策やコロナウイルス感染防止策の観点からのリスク軽減策としての取り組みでもある。

――新型コロナウイルス感染症拡大で管理業務は変わったか。

 小佐野氏 コロナの感染症拡大前からペーパーレス化やテレワーク、デジタル化による業務の効率化に着手していたものの、感染拡大の防止対策によって実行のスピードが加速した面はある。拠点の分散などコロナによって働き方を見直す機会になった。

また、緊急事態宣言期間中は不要不急の外出自粛等の要請もあった為、総会や理事会を20時までに終わらせることに対して、管理組合の理解が得られやすかったのではないかと思う。時間管理という意味でも組合に認識を持ってもらえた。会社に行かないと仕事ができないという状況から、最寄りの拠点や自宅で仕事ができるようになったという点でも、感染症防止対策により業務の見直しができたと思う。

#大規模修繕工事の後ろ倒し 小修繕やリフォームへの提案活発に

――営繕工事の現状は。

 小佐野氏 昨年4月の1回目の緊急事態宣言期間中、理事会や総会が開催できなかったことから大規模修繕工事などを含めて組合の事業が停滞したことによる影響は大きい。営繕工事は人が作業することなので、年度の後半に上乗せして、巻き返しができることではない。コロナウイルス感染症流行期に外部の人間がマンションに入って作業することを恐れ、1年以上後ろ倒しを決めた管理組合もあった。一方で、居住者の在宅勤務が増え日常的に建物をよく見るようになったことから、居住者が小修繕や部屋内のリフォームに関心を持つようになった。工事の提案がしやすくなったと実感しているところだ。今後は小修繕工事を増やしていきたい。

 また、大規模修繕工事に携わる作業員の休日を1カ月最低でも6日、できれば週休2日で月8日間を確保できるよう努力してきた。その分、工期が延び、コストがかかることから、これまでは管理組合の理解を得にくかった。しかし、コロナ禍で居住者の在宅勤務が増えたことから、土曜日まで工事の音がするのはしんどいという声をいただき、管理組合に作業員の休日確保について理解が得られてきたと感じる。トップインタビュー;マンション管理の未来㊽ 日本ハウズイング社長 小佐野 台氏(下)へ続く

2021/5/5 月刊マンションタイムズ

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